自分の父親や中年男性に対するくだけた呼称として用いられることの多い“おやじ”。その“おやじ”が、最近はスマートフォン(スマホ)アプリの世界で「かわいい」キャラクターとして認知されつつあるという。ちまたで話題の“おやじ”をテーマにしたアプリを探してみた。
“おやじ”を育ててみたい、コレクションしたいという人にオススメなのが、株式会社リイカ(東京都新宿区)が提供するゲームアプリ「おやじ観察キット」(iOS、Androidとも対応)だ。子ども向けの学習雑誌に登場するような博士と少年少女が、水槽の中で中年太りの「日本おやじ」から「チアガールおやじ」、「自意識過剰おやじ」といったさまざまなタイプの“おやじ”を育てていくというもの。
水槽に土を入れておやじの卵をまくと、赤ちゃんおやじが生まれ、えさをあげると成長していく。おやじのタイプは、飼育設備で異なり、ゲームを進めるともらえるポイントを使って設備を強化していくと、新種のおやじが登場する。おやじの種類は、約130種類あるという(2014年9月現在)。見つけたおやじは「おやじ図鑑」にコレクションすることもできる。育てられるおやじたちは、愛嬌があり、憎めない面々……かもしれない。
同社のプロデューサー・栗田祐介さん(38)が、ノートに落書きをした“おやじ”がこのアプリの始まりだという。企画に煮詰まり、軽いノリで描いた「気持ち悪いおやじ」を集めたゲームを提案したところ、あれよあれよと開発が決まり、2013年7月のリリースに至った。栗田さんは「おやじ観察キットが、今の“おやじ”ブームにつながっているとしたらうれしい」と話している。
次は、かわいらしい“おやじ”に癒やされたいという人にオススメの「みつけて!おじぽっくる」(iOS、Androidとも対応)だ。画面の中をちょこまかと動く、幸せを呼ぶという小さいおじさん「おじぽっくる」を収集していくアプリなのだが、この「おじぽっくる」、おやじと思えないほどの愛らしさなのだ。見た目はほぼ2頭身で、画面の部屋の中を走っていると思ったら、いきなり寝ていたりする。
全部で36種類いるという「おじぽっくる」をタップして集めていく。Google Playのユーザーレビューには「おっさんがかわいくて仕方ない」、「地味にハマる」などの声も寄せられていて、開発したAppliss代表の貝森援氏(27)は、「無邪気に動き回るおじぽっくるを見て、慌ただしい日常に癒やしを届けられたら」と話している。
最後に“おやじ”と遊んでみたい! という人にオススメの、iPhone用アクションゲーム「フライングゲット親父」を紹介しよう。腹巻きにステテコといういかにもな姿の“おやじ”を、地上に落ちないように、布団から布団へと飛び移らせていくだけのゲームなのだが、シンプルゆえにはまってしまう人が多いのだという。
飛び移れるのは、青色と赤色の布団のみ。黄色や黒の布団に飛び移るとゲームオーバーになる。布団に交じって飛んでくる“せんべい”や“すし”を取るとスコアがアップするが、ビールやお酒を取ってしまうと“酔っぱらいおやじ”になってしまうため、うまくジャンプできなくなるので注意が必要だ。ゲームオーバーになると、進んだ距離によって、“おやじ”からありがたいお言葉がもらえるという。布団から布団へ華麗に飛び乗るおやじを見て、日本の成長を引っ張ってきた団塊世代に思いをはせるのもよいかもしれない。
これらのアプリは、いずれも無料。ちょっとした息抜きに、“おやじ”とお付き合いしてみてはいかがだろうか?