フジカラー 写ルンです(国立科学博物館提供)
フジカラー 写ルンです(国立科学博物館提供)
カメラ付き携帯電話(J-SH04) (国立科学博物館提供)
カメラ付き携帯電話(J-SH04) (国立科学博物館提供)

 人々のライフスタイルを変え、時代に革命をもたらした家電製品や産業用機器は数多くある。その功績をたたえるようと、国立科学博物館は08年から科学技術史を彩る文化財(未来技術遺産)を登録している。これまでに登録された文化財は、横浜赤レンガ倉庫のエレベーター(1910年)や、東海道新幹線を走った新幹線0系電車(64年)、世界初の家庭用VHSビデオデッキ(76年)など。いずれも日本の産業発展を語るうえで、欠かせないものだ。

 ことしの未来技術遺産には、日本初の噴流式洗濯機(53年発売)や、最初に国内で売り出されたカラーテレビ(60年発売)などが選ばれている。これらは「三種の神器」、「新三種の神器」などと呼ばれ、現在生活の必需品として盛んに宣伝された商品である。こうした戦後の高度経済成長の象徴ともいえる電気製品が顔をそろえるなか、少し毛色が違う商品も選ばれた。

 富士フイルムが86年に発売したインスタントカメラ「写ルンです」である。

 それまで旅行に出かけるときにカメラを自宅に忘れると、記念撮影を諦めなければならなかった。だが、「写ルンです」の登場で状況が一変。旅先でも手軽に写真撮影ができるようになった。

 また、手ごろな値段設定と、シャッターを押すだけという簡単な操作が好評で、世界中で17億本以上を販売された「大ヒット商品」に成長した。

 このほか、こんな商品も選ばれている。

 00年に発売された、日本初のカメラ付き携帯電話「J-SH04」だ。これは、写真を撮ってメールで送る「写メール」という言葉を生んだ製品だ。携帯電話に小型のデジタルカメラを内蔵するという、画期的なアイデアで、瞬く前に世間に浸透した。ご存じのとおり、写メールの考え方は、スマートフォンにも引き継がれている。

 国立科学博物館では、9月28日まで、これらの商品のパネル展示を同館の日本館で開催中。今では、当たり前となったライフスタイルをつくりあげた商品を見て、懐かしさに浸ってもらいたい。