米Appleが2014年10月にイベントを開き、新型ウェアラブル端末を発表する見通しだという。AppleのEddy Cue氏が先ごろ「最高の製品ラインアップを年内にリリース」と発言していたのを裏付けるように、6月6日までに複数の海外メディアによって、腕時計型と目されるウェアラブル端末の情報が報じられている。

 腕時計型ウェアラブル端末は、近年MicrosoftやSAMSUNG、SONY、Acerなどの参入が相次ぎ、各社がしのぎを削る、シェア争いが最も熱い激戦区だ。今まで沈黙を保っていた真打ちAppleの登場で、今後の市場は更なる激動が予想される。

 では、Appleの新型ウェアラブル端末とは、一体どんなものなのか。

 スマートフォン端末などと接続できて、着信の通知や操作をするだけでは、既に普及し始めている他の端末との差別化は難しい。その点、Appleは常時装着さるウェアラブルな点に着目した特色を打ち出してきた。

 Appleは6月第1週に開催した同社主催のWWDC(世界開発者会議)で、健康管理/フィットネス機器から取得する情報をiOSデバイスで一元管理する「HealthKit」を発表している。
10月に発表されるとみられる新型端末は、この仕組を利用して装着者の健康状態を簡単に計測、管理できるものになるようだ。

 カロリー消費、睡眠記録、血中酸素濃度、血糖値などの健康データを集める機能を搭載し、24時間、睡眠中も記録し続けることで、より簡単により正確に自分の健康状態が管理できる。

 Appleは今後、収集したデータのより有効的な活用のため、米有力病院や米ナイキとも提携する方針を打ち出している。

 非侵襲型(体を傷つけない方法)で血糖値を測定するウェアラブル端末は、現時点ではまだ存在していない。

 血糖値測定機能については、米国の食品医薬品局(FDA)から医療機器の認可を受け、iPhoneに接続して血糖値を測定、管理するというサードパーティ製の測定器は既に存在していたが、今回満を持して本家からの登場になる。

 これら身体データを測定し、直接スマートフォンやタブレットにデータを接続して管理できるガジェットをモバイルヘルスといい、米国を中心とした海外では熱い注目を集めている。

 モバイルヘルスは現在、iPhoneに接続する簡易心電図測定器や血圧計など、様々な種類が登場している。海外では既に、医療機器の認可を受けたモバイルヘルスで計測したデータを患者と医師が共有し、医療の現場で活かす取り組みが始まっている。

 スマートフォンやガジェットの発展に伴い、急激な進化を遂げるウェアラブル端末。
Appleの腕時計型端末の登場で、米国の医療シーンが変わる日も近いかもしれない。

 しかし残念ながら、日本では、これらモバイルヘルスは薬事法の関係で未だ厚い障壁が残っている分野なのだ。まずは米国の動向を見守るしかない。