室井佑月
室井佑月
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 作家の室井佑月氏は、ジェンダーギャップ指数のために個人の選択が狭められることに異議を唱える。

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 この原稿を書いているのは3月4日。来週、8日の国際女性デーには、メディアはジェンダーの話一色になるのだろう。そろそろハロウィンのようになってきた。いいや、バレンタインか。

 日本でバレンタインにチョコを贈るのは、菓子メーカーが考え出したことであるといわれている。最近では叩かれることもあるバレンタインだが、チョコを贈ることを考え出した菓子メーカーの人は、優秀な営業マンだ。

 では、ジェンダー関連のイベントなどは? これが増えだしたのも、予算がつきやすいからだろう。日本のジェンダーギャップ指数が低いこともあって、男女共同参画事業にはかなりの予算が使われている。

 そして、メディアがこの話ばかりするのは、取材が簡単でお金がかからないから。それと高尚な話題であるというイメージか。野党がこの案件にのめり込むのも、上記の理由に加え、与党との対立としてわかりやすいからに違いない。

 日本はジェンダーギャップ指数が低くて恥ずかしいといって、叩けばいいだけ。叩いているのは個人ではないから、訴えられる怖さもない。

 前々回の原稿で書いたけど、日本のジェンダーギャップ指数が低い理由は、女性の政治家が少ないことと、男女間の賃金格差が大きいところ。

 ジェンダーギャップ指数はほかに、『健康と生存率』『教育』からなっている。どちらもともに、日本は悪くない順位だ。とくに男女が等しく『教育』を受けられるということに関しては、世界でトップクラスといっていい。

 ということは日本女性は、教育は受けたいが、議員になりたくない、長時間労働や、責任のあるポジションは嫌だと考えている人が多いのじゃないか。

 私は自分の人生は、個人が好きに選べる世の中がいいと思う。

 その昔、女は家にいて家庭を守り、男は外で戦うのが当たり前といわれた。私はそういわれることに違和感があった。しかし今、女も働くのが当たり前、男も家事・育児を半分こなすのが当たり前と決めつけられるのもなんか嫌だ。

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