5月4日に京都競馬場で第149回天皇賞・春が開催され、キズナ、ゴールドシップといった人気馬を抑え、4番人気のフェノーメノが史上3頭目の天皇賞・春連覇を達成しました。フェノーメノは、昨年春の天皇賞を勝ち、宝塚記念で4着となった後に脚部不安となり、天皇賞・秋を出走回避。以降、どのレースも出走を取りやめていましたが、今年3月に日経賞で復帰(5着)。そうした危機的状況から這い上がり、今回、1番人気、2番人気を下しての連覇に胸を熱くした競馬ファンも多かったのではないでしょうか。



 一方、ここ数年、同レースでは1番人気馬が勝てないというジンクスがあります。最後に1番人気馬が勝ったのは、なんと2006年ディープインパクト。実に8年間、1番人気馬は負け続けているのです。



 ベストセラー『スタバではグランデを買え! 』で知られるエコノミスト・吉本佳生さんが今年1月に出した自著『スマホは人気で買うな』の中で、競馬についてこんな興味深い話をしています。



「競馬の単勝オッズ(1位の馬だけを当てる賭けの倍率)は、たまに『1.2倍』といった、1に近い数字になることがあります。1.2倍なら、勝率8割の馬だとしても、平均的には不利な賭けとなります(1.2×0.8=0.96)。

 では、圧倒的な1番人気(実力もダントツ)の馬がいるとき、その馬の単勝馬券を買うことが確率的に不利になりやすいのは、どちらのレースでしょう」



ここで吉本さんがあげた2択は以下の通り。

① 注目度が高いレース(G1)

② 注目度が低いレース



 競馬好きな方なら、すぐにわかるかもしれませんね。吉本さんは、この場合、①の注目度が高いレースの方が不利だと言います。ポイントは"大きなレース"では、普段は馬券を買わない人も購入するというところにあります。



「G1レースのように注目度が高く、ふだんは馬券を買わないような人が多数、馬券を買うレースでは、オッズと勝率予想とのバランスなんて考えずに馬券を買う人が多くなっています。そのため、1.2倍になってもまだ1番人気の単勝馬券を買う人がたくさんいて、オッズが1.1倍や1.0倍にまで上がることもありえます」(書籍『スマホは人気で買うな』より)


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