



――写真をはじめたのはいつですか。きっかけを教えてください。
20歳、大学生のころです。写真部に入っていた親友の影響をうけました。ちょうど「カメラ女子」がブームだったころです。カメラをぶら下げていると格好いいとか、単純に流行に乗ったんですね(笑)。一眼レフがほしかったけど、新品は高くて学生には手が出ない。それで、オリンパスOM10を中古で買いました。とにかく軽くて持ち歩きやすいものということで、店頭でいろいろ手にとってみたんです。シャッター音は重要で、OM10のシャッター音はいまでもいちばん好きです。
――最初は何を被写体にしましたか。
おもに風景ですね。「青春18きっぷ」であちこち移動しながら、行く先々でスナップを撮る。そういうカメラ旅が楽しくて。OM10が壊れてからはOM-1。シャッター音はOM10に負けるけど、軽く持ち運べるのでOM-1をいつも使っていました。音楽の仕事をするようになると、周囲にカメラをやる人が多くて、いろいろ情報が入ってきます。「カメラ好き」を公言しているせいか、お仕事でお会いした坂崎幸之助さん(THE ALFEE)に単焦点レンズとカメラをいただいたこともありました。WERRA1は、ラジオ局のディレクターさんから。「中古は説明書がついていないから困るだろう」と、操作方法を書いたメモまでくださったんですが、機械には詳しくないので、あんまり見なかったですね(笑)。
私は開放近くで撮るのが好きで、絞りはだいたいF5.6。シャッター速度は、使いながら体で覚えていきました。現像は近所にある個人経営のカメラ店にお願いしているんですけど、「ちゃんと勉強してから撮りなさい」って、しょっちゅうダメ出しされちゃう(笑)。失敗作が圧倒的に多くて、そのなかに「奇跡の一枚」が交じっているというときもありました。
――デジタルへの移行はどのように?
デジタル一眼ならフィルムもむだにしないからと、2006年にキヤノンEOS KissDigitalを。ところが、ほとんど使わないまま……たしかにきれいに撮れるし、失敗もしない。でもよく考えたら、私が求めているのは「見たままを再現する」ってことではなかったんです。むしろ、画質が粗くても仕上がりに味があるトイカメラにひかれます。LOMOに一時ハマりましたし、WERRA1も好きです。クラシックカメラはデザインがおしゃれだし、持っているだけで楽しくなります。それでもフィルムにはこだわりがあって、アグファウルトラやコダックウルトラカラーなどのネガカラーで撮っています。
――きっかけがあったんですか?
カメラ女子ブームに乗るちょっと前から、蜷川実花さんと佐内正史さんの作品が大好きなんです。くっきりした色彩のコントラストに、ざらっとした質感。あの雰囲気にあこがれていて、自分の写真がうまく撮れたときはずっと手元に残しておきたいと思ったんです。
いま、ブログに載せている写真はデジタルですが、めざしているのはフィルムと同じ仕上がり。カメラは、オリンパス ペン Lite E-PL1。アートフィルター機能を使うと、ポップでコントラストの効いた写真になる。昨年手に入れたばかりですが、すっかり気に入ってブログ用のカメラとして定着しました。
――シャッターを押すのはどんな瞬間ですか。
これは肉眼で見るのに勝てないと思うと、シャッターを押しません。シャッターで切り取るという感覚と、日常を歌詞で切り取る感覚は私の中では全く一緒なんです。写真を撮るときは構図が大事です。私の歌詞は日常を書いているんですけど、見方によってこんなに面白いとか、すてきでしょうとか……そういうのが私らしいと思っています。もう戻ってこない瞬間や思いを音楽は歌詞とメロディで、写真は色彩と構図で表現している。この作業は、自分の中でつながっているんです。
※このインタビューは「アサヒカメラ 2011年8月号」に掲載されたものです