タイム誌が毎年恒例の『最も影響力がある100人』を発表し、アーティスト部門にチャンス・ザ・ラッパーが選出された。チャンスの紹介文で、同じくシカゴ出身の先輩MCであるコモンが二人の間の不思議な縁について明かした。
「何年も前に自分の祖母から、彼女の友人の孫に電話してやってくれないかと頼まれたことがあった。“励ましの言葉をかけてあげてほしいのよ。彼はラッパーになりたいんだって”と祖母は言った。そこで私は受け取った番号に電話をかけ、メッセージを残した。“夢を追い続けろよ”と彼に伝えた。そしてそれきりそのことについてすっかり忘れていた」と彼は綴っている。
「それから何年も経ってから、私の10代の娘が気に入っているという新しいミックス・テープを聴かせてくれた。それがチャンス・ザ・ラッパーだった。どこかユニークでソウルフルなものを感じた。彼がヒップホップに精通していることは明らかだった。彼に初めて会った時、彼も私のことを知っていると気づいた。“覚えてないでしょうが、僕が子供だった頃、電話をいただいたことがありました”と彼は言った」。
24歳になったばかりのチャンス・ザ・ラッパーは、現在のヒップホップ界で最も革新的なMCの筆頭とも言える存在だ。インディペンデント・アーティストとして活動しているにも関わらず【グラミー賞】を受賞、そしてそのスターダムを利用した社会貢献活動も積極的に行なっている。
コモンはこう続ける。「アーティスト、特にヒップホップ・アーティストにできると期待されていることをチャンスは覆している。彼はアルバムを販売するのではなくストリーミング配信する。彼は堂々と感動的でキリスト教的な視点から音楽を制作し、その音楽は年齢、人種、ジェンダーを超越する。彼はシカゴのコミュニティに還元する。そしてそれを全てレーベルのサポートなしでインディペンデント・アーティストとしてやっているのだ」と彼は賞賛し、「チャンスが夢を追ってくれたことを嬉しく思っている。これからもずっと追い続けてほしい」と締めくくっている。