娘がiPadで描いた絵が11/30まで吉祥寺シアターカフェに展示されている。娘が特別の才能を持っているからこうなったのではない。このカフェはアーティストに壁面を無料で貸してくれるのだ。
9月に知り合いとここでお茶をした際、カフェのかたに娘の絵をお見せしたら、快く展示の許可をいただけた。小学生に壁面を貸してくださるこのカフェをとてもステキだと思った。
私は物書きなので、絵の展示をしたことはない。壁面にどうやって絵を飾ったらいいのかわからず、お店のかたや近所の額縁屋さんにアドバイスいただきながら、なんとか発泡スチロールのパネルアートに金具を取り付け、ぶら下げることができた。金具の代金は900円だった。娘のおかげで、私もアートの世界をかいま見ることができている。
最近の娘は私がちょっと嫉妬してしまうほどに絵を評価されている。facebookで私が何か書く時よりも、娘の絵をポンと貼ったほうが、ずっと「いいね!」と言われてしまうのだ。先日など色鉛筆で描いた柿の絵に130も「いいね!」がついた。私が最も「いいね!」をもらえたのは「髪型変えました?」と写真を出した時の100いいね!なのに......。絵のほうが視覚に訴えかける力があるとはいえ、小学生のくせに100人以上からいいね!と言われるなんて妬ましい、いや、うらやましい。
小説に比べて、絵は一瞬で、人々にジャッジを下される。小説はまず読んでいただくという高いハードルがある。絵は言葉もないから海外の人にも伝わる。小説は日本語オンリーという高いハードルがある。時々私は娘がいる世界がとてもうらやましくなる。
店内には娘が描いた女の人の絵が5点、静かに飾られている。お客様の中には、絵に目を留めて「この絵は誰が描いたものですか」と尋ねてこられるかたもいるという。
娘はカフェの隅の壁面によりかかり、アイスティーを啜りながら、お客様の反応をじっと窺っていた。自分の絵を見ながら知らない誰かがお茶を飲んでいる。それは彼女にとってたまらなく誇らしいことなのだろう。
本人の強い意思で中学受験をすることになったため、娘のアート活動は1年ほどお休みをいただくことになるけれど、絵を通して大人と交われた日々は、彼女の何よりの支えになることだろう。