今年はひどい花粉症になってしまった。ひっきりなしに鼻水と咳が出て気持ちがむずむずと落ち着かない。毎年花粉症のような症状は出ても2、3日でおさまるのに、今年は1週間経っても外出もままならないくらいグズグズだ。
かなりつらかったのだけど同様の症状の人で耳鼻科はおそろしく混んでいるらしいので面倒だし行きたくはない。どうしようかと思っていた私に、天啓のようにハリの先生の言葉が浮かんできた。
「身体がゆるくなると鼻水が出るんだ」
確か以前、先生はそうおっしゃっていた。つまり私は鼻水の蛇口が少しゆるんでいる状態なのだから締めればいい。必死で記憶を辿ると今度はマクロビオティックの先生の指導を思い出した。
「身体を引き締めるには梅醤番茶です」
梅肉と醤油を入れて飲む番茶。このシンプルな飲み物こそ、身体の引き締めには最強だったはず。私はクシャンクシャンしながら梅醤番茶の瓶1680円を買ってきてカップにスプーン一杯を入れ、お湯を足して飲む。
全然期待していなかった。いくらノド飴を舐めても一向に回復しなかったのだから。それなのに30分後......。
「あっ」と思った時には、久しぶりに鼻呼吸をしている自分がいた。信じられなかった。
でも面白いことに数時間経つと効き目は切れてしまう。ただのお茶なのに、普通のクスリみたいな効きっぷりだ。
ネットで調べてみると花粉症には「切り干し大根茶」のほうが強力だと書かれていたので330円出して買ってきて30分かけてぐつぐつ煮出した汁を飲んだ。すると途端に鼻水や咳がブリ返してしまった。ああ、私のカラダには合わなかったのだな大失敗、と悔やみつつ、鼻をぐずぐずさせて寝た。
しかし今朝起きて外に出てしばらく歩いてから私は驚いた。私はマスクをしていない!今までマスクがないとつらくて外に出られなかったのに、爽やかに春の風に吹かれて平気でいるではないか!
あまりのことにしばらく呆然としてしまった。もしかして切り干し大根茶が効いたのだろうか。昨日いったんブリ返したのは好転反応というものだったのだろうか。久しぶりに脳みそが隅々まで冴えている感覚がうれしくてたまらない。
昔の人の知恵ってなんて素晴らしいのだろう! それとも私が信じやすい体質だからプラシーボ効果なのだろうか。プラシーボでもなんでもいい、私は今、ごきげんで原稿を書いている。鼻水なんかに中断されやしない。さあ働くぞ?ッ!