岩村明憲、川崎宗則、新庄剛志、田口壮、田中賢介の5人は日本に出戻って通算1500安打をクリアしている。クリアできなかったのは西岡剛だ。ロッテからメジャーに渡った西岡は帰国後の13年に阪神に入団し、144安打、打率.290をマークしたが、18年限りで退団して通算1241安打だった。

 通算2000安打まで最も惜しかったのは城島健司だろう。初の日本人捕手メジャーリーガー。ソフトバンクからマリナーズに入団し、4年間で計431安打。阪神に入団した10年は168安打で打率.303。03年の182安打と合わせて、両リーグで捕手のシーズン最多安打を記録した。しかし、ヒザを痛めて捕手としての守りが困難になった城島は12年に引退し、通算1837安打。当時36歳だった。残り163安打は他のポジションを守れば可能だったかもしれない。

 捕手として02年に初のメジャー入りを狙った谷繁元信は、入団条件が折り合わず、渡米を断念し、中日に入団。その結果、日本最多の3021試合に出場、通算2000安打を達成した。中島宏之は西武から渡米したが、2年間メジャー昇格はかなわず、厳密には「日本人メジャーリーガー」とはいえないかもしれない。オリックス巨人に移籍し、21年終了時点で通算1899安打。現在通算2000安打をめざす中島にとって「空白の2年間」は、いまとなってはもったいなかったかもしれない。

 続いて投手に目を移してみよう。「名球会入り」の条件である通算200勝と通算250セーブでは、野茂英雄がメジャー時代に通算200勝を達成している。佐々木主浩はメジャー時代、高津臣吾は日本時代に通算250セーブを達成している。黒田博樹は「最後の一球は広島で投げたい」と、20億円とも言われた年俸を捨て、日本復帰2年目で通算200勝を達成した。残念だったのは藤川球児の通算245セーブと小林雅英の通算234セーブだ。そして現役選手の楽天の田中が昨年終了時点で通算181勝だ。投手でも「出戻り」の活躍は難しいことを過去の例が実証している。

 これまで日本プロ野球から打者18人がメジャー入りし、4人がメジャー時代に通算2000安打を達成、3人が帰国後に達成、7人が未到達のまま引退。筒香嘉智、鈴木誠也、大谷翔平、秋山の4人が未到達の現役である。

「日米日2000安打達成」が困難な理由として、帰国時はそれなりのベテランに達していて、故障しやすいうえに力も衰えていることが考えられる。また復帰したときには若手が台頭して守るポジションがないのも理由のひとつだろう。いずれにせよ「出戻り」による達成は、かくも難しい。

 秋山は渡米前の西武時代、シーズン216安打の日本記録を含め4度のリーグ最多安打をマークしている。西武時代に1405安打、メジャーで71安打。帰国後に524安打を打てば通算2000安打達成となる。過去、「出戻り」で達成した井口、福留は同一リーグに復帰している。まだ34歳の秋山がセ・リーグの野球にアジャストできるかも注目されるところだ。(新條雅紀)

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