世間の基準に合わせるから、自分がうまくいかないような時、世間が悪いという言い訳をするのです。これがいわゆるルサンチマン、弱者が「強者は悪だ」として自分を納得させる心理です。負け惜しみみたいなものですね。

 ニーチェは、キリスト教は「悪人は天国にいけない」「自分は貧乏で苦しいけど善人だから天国へいける」とし、ルサンチマンを「道徳」という言葉に置き換えて、爆発的に普及させたと考えました。でも、負け惜しみを言いたくないなら、最初から自分の基準で生きればいい。日本人はどうしてもこれができないから、ニーチェに憧れるのかもしれませんね。

フリードリヒ・ニーチェ/1844~1900年。『道徳の系譜』『ツァラトゥストラはかく語りき』などで知られるドイツの実存哲学者。キリスト教を奴隷道徳と呼び、それによってニヒリズムが生まれると批判。苦しみを受け入れる超人思想を唱えた

(哲学者 小川仁志)

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