ヤクルトの村上宗隆
ヤクルトの村上宗隆
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 2日のヤクルト中日戦。都内で夕方の気温が33度を計測する猛暑の平日だったことも影響してスタンドは空席が目立った。だが、19033人の観客は歴史的快挙を見られて幸せだっただろう。

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 ヤクルトの村上宗隆が前人未到の記録を達成した。初回に右翼席上段へ38号を放つと、3回1死一塁の場面では外角のチェンジアップを右手1本で左中間スタンドに39号2ラン。7月31日の阪神戦で3打席連続アーチ弾と合わせてプロ野球史上初の5打席連続本塁打を達成し、球場はどよめきに包まれた。

 試合を分析した他球団スコアラーは苦笑いを浮かべる。

「今の村上には投げる球がない。緩急で揺さぶっても崩されないし、コースも関係ない。打席の構えを見ても『何でもいらっしゃい』という雰囲気で、他の打者とオーラが違う。ボール球には手を出さないですし…。厄介なのは5番にサンタナがいることです。長打力に加えて打撃の柔らかさがある強打者なので、村上を簡単に歩かせられない。内角高めの直球、外角低めの変化球を投げ切るしかないですね。昨日の2発だったら投手は責められないですよ」

 中日の柳裕也は球界屈指の制球力を誇る好投手だ。女房役・木下拓哉と綿密に「村上対策」を講じただろう。初回の打席ではチェンジアップ、スローカーブ、チェンジアップで2ボール1ストライク。直球をどのタイミングで突っ込んでくるか。配球を読み合う心理戦が繰り広げられる中、4球目のスローカーブに村上は下半身でタメを作って振り抜いた。柳にも意地がある。3回の打席はカットボール、チェンジアップで空振りを奪いフルカウントに。6球目は外角のチェンジアップ。他の打者だったら空振りか内野フライだろう。村上は泳がされたが、右手一本で逆方向の左中間へ叩き込んだ。投手からすればダメージの大きい一発だ。マウンド上の柳は両手に膝をつき、がっくりとうなだれた。

 スポーツ紙の遊軍記者は、こう分析する。

「フルカウントで村上の中には当然、直球が頭にあったと思います。あのチェンジアップを泳ぎながら左中間にスタンドインできる打者は村上しかいないでしょう。今まで見てきたスラッガーの中で松井秀喜さんが一番衝撃を受けましたが、長距離砲としてのスケールの大きさは村上の方が上だと思います。松井さんは逆方向にアーチが少なかったが、村上は左翼に本塁打を打つ技術を完全につかんでいるように感じる。50本塁打達成はもちろんのこと、2013年にバレンティンが樹立した日本新記録の60本塁打にどこまで迫れるか楽しみです」

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