けれども、「働かないおじさんは、気にするだけ無駄」と言ったとしても、「納得いきません!」という声が若手社員から上がってくることも想像できます。

 では、どうしたらいいでしょうか。

 この問題は、共同体感覚がある職場かどうかが重要なのです。

「共同体感覚」とは、アドラー心理学が最も重要視しているコンセプトの一つです。

「共同体感覚」を端的にいうと、共同体にいる仲間の人間に関心をもち、その仲間を信じること、一人一人個性の違う人間として尊敬することです。

 さらに、その共同体にいる仲間の幸せや成長に対して「自分は何ができるか」と考え、貢献する姿勢です。

「ここに居場所がある」「ここにいていいんだ」という所属感も含みます。

 こうした感覚・感情を総称して「共同体感覚」といいます。

 共同体に居場所があると感じられ、そこの仲間に対し、尊敬・信頼することができ、その共同体に貢献しようと思えるときに、「共同体感覚がある」といえます。

 この「共同体感覚」が職場にあるかどうかがキーとなるのです。

 共同体感覚を、わかりやすく説明するときに、こうたとえることがあります。共同体感覚とは、「I(私)」ではなく「We(私たち)」という感覚。「Weの中のIである」「チームの一員である」という感覚です。私たちは、どうしたらいいか。私たちには、何ができるか。「“私たち”を主語にして考えることができる感覚」ともいえます。

 もちろん、この「私たち」の中に、働かないおじさんも含まれます。働かないおじさんも、チームの一人として、「お互いに尊敬し合える」「お互いに信頼し合える」職場かどうかが重要なのです。

 近年、ビジネスの場面で「心理的安全性」とさかんにいわれます。簡単にいうと、「チーム内のメンバーが自分の言動を拒絶したり、非難したりせず、ここは安全だと思える状態」のことです。「生産性が高いチームは、心理的安全性も高い」とされています。Googleが実践していることで有名になりました。

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心理的安全性のあるチームは強い