「働かないおじさん」問題は多くの組織で課題となっている。写真はイメージ(PIXTA)
「働かないおじさん」問題は多くの組織で課題となっている。写真はイメージ(PIXTA)
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 働き方が多様化し、上司と部下の関係もフラットになりつつある昨今、チームを率いるリーダーの悩みは尽きません。昔から一定数いて絶対になくならないのが、「働かないおじさん」問題だ。若手社員から「あの働かないおじさん、なんとかしてください!」と言われたリーダーは少なくないはずだ。ベテランの顔をつぶさないで、若手の士気を下げないような対応をするには、どうすればいいのか。アドラー心理学に基づいたセミナー・企業研修を行って40年の岩井俊憲氏の著書『みんな違う。それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から抜粋・編集して、その極意を解説する。

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 最近、よく耳にするのが、若手社員から出る声で「働かないおじさん問題」です。若手社員よりはるかにお給料をもらっているのに、全然働かず、若手社員のモチベーションを下げたり、業務のしわ寄せが若手社員にきて困るとされる問題です。

 たしかに、チームとしての業績目標があって、若手社員が働かないおじさんの埋め合わせを代わりに過度に負担させられるなどの状況があるなら、我慢ならないというのも理解できます。とはいえ、その影響を受け、若手社員が「私たちも働きたくありません」となってしまったら、チームとしても、その若手社員本人の成長という意味でも、健全で建設的とはいえないものです。

 では、リーダーは、どうすればいいのでしょうか。

 シンプルに言ってしまえば、「気にしないのが一番、気にするだけ無駄」です。そのことを部下に理解してもらうことです。

 若手社員が怒ったとしても、職場の働かないおじさんは変わりません。おじさんが働かないことの問題は、最終的におじさんに降りかかってくるのです。

 一方、若手社員が「怒る」のにもエネルギーや時間がいります。その意味で、若手社員のエネルギーや時間が無駄になってしまうともいえます。だから、「気にしない」ということが意外と建設的な対応といえます。

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大切なのは「共同体感覚」