米ワーナー・ミュージック・グループは5月11日、2015年第1四半期においてストリーミングによる収益がダウンロードを上回ったことを明らかにした。米3大レーベルのなかでこのような発表をしたのは同社が初だ。楽曲のストリーミングによる収益が33%増加し、これにより音楽出版部門ではデジタル収益が100万ドル(約1億2,000万円)増加したという。

 3大レーベルでは最小のワーナーだが、収益は前年期から3.7%増加し、実質ベースでは12.8%増加の6億7,700万ドル(約811億円)に。償却前営業利益は64%増の1億2,100万ドル(約145億円)となった。収益増加と共に、2013年にユニバーサル・ミュージック・グループから買収したパーロフォンでの低経費があいまっての結果だと同社は話す。前年期の純損失5,900万ドル(約71億円)に比べ、1,900万ドル(約22億8,000万円)の純利益となった。

 ストリーミングは一般に音楽消費の未来の形だと考えられているが、どんなビジネスモデルがレコードレーベルの支持を得られるものなのかは不確定だ。Spotifyは広告の入ったサービスを無料提供し、それ以上のサービスに課金するフリーミアム・モデルを採用して非難を浴びている。テイラー・スウィフトなどの有名アーティストたちは、Spotifyのビジネス・モデルとストリーム1回ごとのロイヤリティ方式に批判的なのだ。

 しかし、ワーナー最高経営責任者のスティーブン・クーパーは、広告付きの無料サービスから有料サービスへの移行をリスナーへ促すフリーミアム・モデルを支持しており、とあるデジタル・パートナーと共同で消費者市場への“サービス提供や高度なアプローチを通じて”この移行をスムーズにさせるために動いていると明かした。

 また、クーパーは無料オプションを制限すると権利所有者やクリエイターの収入にならない違法サイトにユーザーが流れてしまうことを警告している。他レーベルによるSpotify批判をほのめかしつつ、業界としてはフリーミアムが火あぶりの刑になる前に注意を払うべきだと述べている。