訓練中に性被害を受けた元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(23)が10月14日、衆院議員会館内で開かれた防衛省へのヒアリングに立憲民主党の国会議員らと出席した。五ノ井さんは、加害行為をした複数の男性隊員から直接、謝罪を受けることが決まったと明かした。
ヒアリングには、防衛省から石川武・大臣官房政策立案総括審議官ら幹部が出席。1時間ほど五ノ井さんや議員らと意見を交わした。
五ノ井さんは、福島県の郡山駐屯地に所属していた昨年8月、上官の指示を受けた男性隊員3人から、首に両手を当てて押し倒すような技をかけられ、衣服越しに繰り返し陰部を押し当てられるなどの性被害を受けたと訴えていた。
防衛省は9月29日に内部調査の結果を公表。幹部が「長らく苦痛を受けられた五ノ井様に対し、深く謝罪し、おわびを申し上げる」と五ノ井さんに謝罪したが、加害行為をした男性隊員らの処分はまだ出ていない。
ヒアリングで五ノ井さんは、この点について、
「(被害認定の)内容は固まっているのに、なぜ処分が下りるのに時間がかかっているのか」
と問いただすと、防衛省側は、
「それぞれの証言内容が異なっている。厳正な処分を下すためには慎重に事実を特定している段階だ。自衛隊独自のプロセスがあり、処分に時間がかかっている」などと説明した。
現在、防衛省や自衛隊の窓口に寄せられるセクハラ、パワハラなどハラスメント全体の調査を進めている特別防衛監察について、五ノ井さんが、範囲の対象に退職者は含まれないのか尋ねると、防衛省側は、
「退職された方の申し入れも受け付ける」
と答え、10月末までだった受付期間を11月末までに延長するとした。すでに退職者からメールや手紙などが届いているという。
ただ、時間が経過している場合は調査が困難なため、可能な範囲で対応するとしている。
一方、議員からは、被害によってトラウマを抱えた場合の治療についても支援するべきだとの提案があった。