グループ結成当初の安田大サーカス(写真:松竹芸能株式会社提供)
グループ結成当初の安田大サーカス(写真:松竹芸能株式会社提供)

■今後も賞レースを見ることは絶対ない

 20年ぶりに見た賞レースは面白かった。でも、今後、見ることは絶対ないと思う。

 賞レースを見ると、すごく疲れちゃうから、ぶっちゃけあまり見たくないんだよね。ボク自身も、かつて、賞レースに出た経験はあるから、あの緊張感がよみがえってきちゃって、どうも見る気になれない。ボクは、気持ちが入りこんじゃうタイプだからね。

 思い返すと、賞レースの出番前はほんと特別な時間だった。胃酸がずっとあがってくる感じっていうのかな。頭がおかしくなるくらい、練習を何度も重ねたって、失敗するんじゃないかっていうマイナス思考は決して消えない。

 あまりにも緊張が続くから「これじゃ絶対失敗する」と思って、ボクは途中で考え方を強引に変えていた。「緊張しているってことは、それだけ自分がお笑いに真摯に向き合っているということ。だから、決して悪いことじゃない。ボクが成長しているってことだ」ってね。

 自分にそう言い聞かせて、何とかその場を乗り切っていた。そのぐらい賞レースの緊張感ってエグいんだ。だって、人生が一変する可能性があるわけだからね。

 ちなみに、安田大サーカスの運命をかえたのも、賞レースだった。安田大サーカスは、かつて一度だけ、解散危機のような時期があったの。仕事が急激に減ってしまったのが主な原因だったんだけど、その時に、グループの存続をかけて臨んだのが、「ABCお笑いグランプリ」だった。「このコンテストで何も賞をとれなかったら、安田大サーカスの今後はない」、そう腹をくくって、臨んだのを覚えている。

 結果は、運良く「審査員特別賞」に輝くことができた。おそらく、あの「審査員特別賞」がなかったら、安田大サーカスはとっくになくなっていただろうね。

 良い思い出もあるけど、きっと、安田大サーカスで、賞レースに出場することはもうないと思う。っていうか、絶対出たくない。団長は練習が長いし、しつこいから嫌なんだ。

 団長は芸人というか、もう完全にアスリート。HIRO君だって、今、農業をやっていて、お笑いの頭じゃなくなっているから、もうコントや漫才をするなんて無理だよ。それに、ボク自身も芸人っていうより、アイドルのつもりでいるんだから、出場するなんて変でしょ。もし、出場するなら、アイドルの子とコンビ組みたい。

 アスリートと農業やっている人とアイドルが一緒に出場するなんて、どう考えても、おかしいおかしい。

 絶対出たくないしん!!

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

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