浅野佳代さんとアサノタカオさん(撮影/篠塚ようこ)
浅野佳代さんとアサノタカオさん(撮影/篠塚ようこ)
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 AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2023年3月6日号では、サウダージ・ブックス代表の浅野佳代さん、サウダージ・ブックス編集人のアサノタカオさん夫婦について取り上げました。

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妻27歳、夫29歳で結婚。娘(18)と3人暮らし。

【出会いは?】沖永良部島(鹿児島県)で開催された文化人類学者・今福龍太さん主宰の野外学舎「奄美自由大学」で出会う。夫は研究者だったが戻る予定のブラジルに戻れずに道を見失っていた。妻は大学院生で、夫と話をする中で同じ道を歩んでいく人だと思った。

【結婚までの道のりは?】子どもを授かり、出会いから約1年後に結婚。

【家事や家計の分担は?】家事は「基本、気づいた方がやる」(妻談)。逆に「気づかなければやらなくていいってこと、うまい表現だ!」(夫談)。現状は、夫7:妻3が共通認識。財布は一緒。

妻 浅野佳代[46]サウダージ・ブックス代表

あさの・かよ◆1976年、大阪府生まれ。中央大学で人類学と宗教学を学ぶ。大学院卒業後、2007年に夫と神奈川県の葉山で、旅と詩と野の教えをテーマに出版活動を開始。18年に鎌倉で出版社を始動し、代表として全体のマネジメントと販売管理を行う

 今回の撮影地の江の島には、よく家族で散歩に来ます。夫は本を読んだり、私と娘はアイスクリームを食べたりしてぼーっとする。そんな何もしない時間って大事。

 初めて夫に会った時、同志だと思いました。人類学で学んできた経験が似ていて、長く付き合わなくてもわかるものがある。「道行き」っていう言葉をよく使っていました。道って歩むと道になるから、一緒にやらなくちゃいけないことがあると予感したんです。私も夫もフィールドワークでいろんな島々にいたからこそ、そこに語られない声なき声があって、小さな声に耳を傾け、大事な知恵を拾って、本作りを通して伝えていきたい、と。それは今も続いています。

 私たちにはオンオフがなく、夫は24時間ずっと本のことを考えている。食事中も睡眠中も。考えないのは無理だとわかっているから、そこは尊重しています。私の在り方にも、相当寛容でいてくれているんじゃないかな。異文化同士でも密接に助け合い、家族間に距離がないのは不思議です。

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