コロッケは過去にバラエティ番組で自身の「五木ロボ」のネタの進化について語ったことがある。実はこの芸は、やり始めた頃と現在では動きが変わっているのだという。
初期の頃には『ロボコップ』を参考にしていたので、昔の映画に出てくるようないかにも機械っぽい動きをしていた。だが、今では、現代の映画っぽく見せるためにひと工夫をしている。
今の映画ではCGが使われているので、足を踏み降ろした瞬間に体に揺らぎが入る。それを再現するために、コロッケは足を踏み込んだときにその衝撃でグッと肩が持ち上がるような動作をしている。
これは、よくよく考えてみれば皮肉な話である。作り物をリアルに見せるためにCGが使われているのに、その技術が進んだ結果、それが不自然なほど自然になってしまった。その「不自然な自然」の違和感をコロッケはネタに昇華しているわけだ。CGの技術が発達すればするほど、ある意味ではCGはよりCGっぽくなってしまうということなのかもしれない。
コロッケがここまで細部にこだわっていても、その違いはほとんどの人には気付かれないだろう。だが、そのこだわりは決して無駄ではない。コロッケの芸を見たときに感じる、人智を超えた「凄み」のようなものは、恐らくこういうところから醸し出されている。コロッケの五木ロボは、彼の最高傑作であると同時に、今後も長く語り継がれるべき「ものまね界の文化遺産」である。(お笑い評論家・ラリー遠田)