コロッケ
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 10月25日放送の『ものまねグランプリ コロッケラストパフォーマンス!&今どこに行っても一番ウケるネタ25連発!!』(日本テレビ)で、ものまねタレントのコロッケが同番組を卒業することを発表して、最後のパフォーマンスを披露した。

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 この日にコロッケが見せたのは、今までのものまね人生の集大成と言えるようなネタだった。岩崎宏美、美川憲一など、彼の代表作を惜しげもなく矢継ぎ早に見せていき、後輩のものまねタレントとも共演した。

 そして、ネタの最後を締めくくるのはものまね史に燦然と輝く名作「五木ロボ」だった。ロボットと化した五木ひろしが、機械音に合わせてぎこちなく動きながら『契り』を歌い上げる。ネタが終わった後、彼を激励するためにサプライズゲストとして五木ひろし本人が駆けつけた。五木の顔を見たコロッケは感激のあまり涙を流していた。

 コロッケは「ものまね四天王」の一員として、80年代後半から90年代前半のものまねブームを牽引してきた。そして、その後もものまね界の第一人者として数十年にわたって独自の芸を突き詰めてきた。今では誰も到達しえなかった境地に至っている。

 実は高度で緻密なその芸とは裏腹に、コロッケというタレントにはどこか親しみやすさが漂っている。ものまね番組以外ではテレビでもほとんど見かけることがなくなったほかの「ものまね四天王」のメンバーと比べても、コロッケは外に向かって開かれている印象が強い。

 その理由の1つは、バラエティ番組などでコロッケがたびたび自分の芸の解説をしてきたからではないか。コロッケはステージ上でも、ものまねのコツや見どころなどを優しく説明しながらネタを進めていく。そのおかげで、誰もが彼の作るものまねの世界に心地良く没入することができる。

 さらに言えば、後輩に道を譲るために『ものまねグランプリ』を卒業することを決めたとも語っている通り、後輩思いな一面もある。そんな人間が「ものまねの帝王」と呼ばれるのは当然だろう。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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