いつの間にか2月が終わり、もう春がやってこようとしています。1、2月は何かと忙しかったり逆にいつもよりダラダラしてしまったり、日々のバランスが崩れて体がダル重くなりがちです。毎日元気に過ごすためには、"よく遊び、よく食べ、よく眠る"ことだと昔から言います。この「よく」とは「ちょうどよく、ほどよく」であるとアドバイスするのは、東洋医学研究家・鈴木知世さんです。「東洋医学では、『中庸』という言葉を使い、何事もバランスを重視」するのだとか。
鈴木さんの著書『1週間に1つずつ。 いつも調子がいい人の 体を動かす習慣 休める習慣』では、そのバランスについて季節・月・週ごとに細かく分けて動かす習慣と休める習慣を解説しています。
そもそも人間の体は日照時間や気圧の変化などで心や体調が変わる性質を持っているので、同じ習慣を一年間繰り返しても、成果が出るときと出ないときがあります。それなら効率よく成果が出るときに成果が出る習慣をしたいですよね。
そこで同書では、鈴木さんが東洋医学の知識をもとに、体を「動かす」「休める」のバランスに焦点をあてた、ちょうどよい過ごし方を提案しています。たとえば、これからやってくる春について見てみましょう。
「2月の立春を迎えると、春が始まります。春は、1年に一度の『若返りのチャンス』であるとともに、1年の養生の中で最も大事な季節です。なぜなら、冬から一転して春には『新陳代謝』が高まるからです」(同書より)
では、3月1週目はどのように過ごせばよいのでしょうか? この時期の「動かす」と「休む」の習慣は以下の通りです。
「いよいよ春本番となる3月は、自分自身の目覚めの儀式としても、朝の『目覚めストレッチ』をルーティン化しましょう」(同書より)
「東洋医学では目と筋肉と肝には密接なつながりがあると考えます。そして春は、このすべてに負荷が大きくかかる季節です(中略)そこで、ランチ後に30分程度の仮眠をとりましょう。目や筋肉を休めることができるのはもちろん、1日のうちで最も血流がよくなる時間に脳を休めて、臓腑に血流を集中させることで臓腑の養生になります」(同書より)
目が覚めたらストレッチをする、食後に30分昼寝をする、これだけを聞くとよくある方法だなと思うかもしれませんが、東洋医学の観点から「体のどの部分に作用するのか」、「こういう季節だからこれが効果的」などの解説がある分、納得しやすいです。"なんとなく体にいいらしい"という理由でおこなうよりも目的意識を持ってできるため、習慣として定着しやすいのも良い点です。
同書ではこのように季節・月・週ごとに動かす習慣と休める習慣を解説しているため、一気に読み切るのではなく、手元に置いて毎週または毎月チェックしながら日々の暮らしを考える本です。そのため、読書が苦手な人やあまり文字を読むのが得意でない人にもおすすめでき、体をいたわってあげたい人へのプレゼントにもいいかもしれません。気が向いたときにふらっと手に取って確認するだけでいいので、とても気楽に読めて、いい読書習慣にもなります。最近体がダル重いなと感じた人はチェックしてみてはいかがでしょうか。
[文・春夏冬つかさ]