今回もあえて危険な戦いに臨むとも取れるが、青木はそこをひけらかさない。

「『すごいね、なんでこんな奴とやるの?』みたいなことを言われるんですけど、“あぁ、そう思うんだ”みたいなことでしかなくて、これが俺のスタイルなので」

 今も都内は自転車で移動し、ABEMAの解説で車を用意されても、変わらず自転車で行き来しているという。青木にとってはそれが心地よいあり方であり、崩せないスタイル。自身を“狂人”あるいは“アレな人”と言い、そのあり方を人に勧めることはしない。

「僕が思ったカッコいいとか、いい形を追求しているけど、正直これがいいことだとはあまり思わない(苦笑)。子どもが『なりたい』って言ったら、大人はみんな止めてあげてねって(笑)」

 だが、決してその生き方を勧めない一方、社会で頑張る人には戦いを通じメッセージを届けたいという。

「やっぱり生きていくことってすごく大変だし、自分の理想と求められることの中でみんなせめぎ合ってると思うんです。別に僕は万人受けはしないですけど、社会の中で一生懸命いいものを作って頑張っていこうとする人、何か志がある人に響いたら有益だと思うので、そこはこだわりを持ってやってます」

 戦いを通じ“生き方”を見せるのが格闘家。

「僕自身、自分の答えを出すためにやっているので、今回もちゃんとやり切って、自分自身の言葉を出したいと思ってます」

 決戦の地シンガポールに入ってからもつまびらかに心境を発信し、青木はすでに戦っている。(文/長谷川亮)

●プロフィール
長谷川亮/1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」 編集部を経て2005年よりフリーのライターに。 格闘技を中心に取材を続けている。 そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『 琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』( 2019)の監督、格闘技・プロレスのインタビューチャンネル『 青コーナー』の運営も。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?