ウォード記者は、「各賞の要素が複雑で、大谷選手を難しい立場に追いやっている」と指摘し、次のような持論を展開した。
「シルバースラッガー賞に関して言えば、指名打者部門はヨルダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)の受賞は妥当だと思います。しかし、ユーティリティー部門の落選は理解できません。そもそも(同部門の)基準がよくわかりません。大谷選手は候補者の中でも明らかなベストヒッターだった。大谷選手のポジション(投手と指名打者)は考慮されるべきで、彼が受賞を逃すというのは筋が通らない」
同記者はサイ・ヤング賞についても「大谷選手(の成績)はトロント・ブルージェイズのアレック・マノア(3位)に匹敵すると強く信じていたので、彼は少なくとも最終候補になれたと思うのですが」とファイナリスト不選出を悔やむ。ただ、今季のファイナリストには「理にかなっている」と述べ、強くは反論しなかった。しかし、MVPの選出については別だ。
「MVPについてですが、私は大方の意見と同様、大谷選手とジャッジはMVP級の活躍をしたし、球史に残る素晴らしいシーズンを過ごしたと思っていますので、2人は同じように評価されるべきだと考えています」と述べる。しかし、現地の報道について「東海岸と西海岸では偏りがあった」と非難。実際、今回の投票結果を見ればウォード記者が憤るのも無理はない。BBWAAが17日に公表した投票者の内訳によれば、大谷に1位票を投じたのはエンゼルス地元から選出された有権者2人だけ。
一方、ヤンキースが地区優勝を果たしたことが大きく影響した、との指摘もある。エンゼルス専門メディア『ヘイローズ・ヘブン』のジェイコブ・シスネロス記者は「サイ・ヤング賞やMVPを逃しても大谷選手の価値が下がるわけではないが、彼のようなMVP級の選手は今後、(受賞するためには)チームを優勝に導くことが求められていくのかもしれない」と述べ、今後「MVP=優勝チームの選手」という構図になる可能性に警鐘を鳴らす。