アメリカ・大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、2024年に最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手に選ばれました。9月には史上初の「50-50」という偉業を成し遂げて、大きな話題になりましたが、この「50-50」という記録は、どれほどすごいもので、なぜ達成できたのでしょうか? 小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ2024年12月号」(朝日新聞出版)から、スポーツジャーナリストの生島淳さんがわかりやすく解説します。
【図表】大谷選手の「本塁打・盗塁数」の年度別成績はこちらパワーとスピードを両立させた
今季、ロサンゼルス・ドジャースでプレーした大谷翔平選手の活躍は、本当にすごかったですね。本塁打54本と盗塁59個はどちらも自己最多。所属するナショナル・リーグでは本塁打王だけでなく、打点王(130)、得点(134)、出塁率(3割9分)など、さまざまな部門で1位になりました。
なかでも話題になったのは「50―50」です。メジャーリーグではシーズン50本塁打と50盗塁を同時に達成した選手はいませんでした。大谷選手は史上初めて、その大記録を達成したのです。
では、なぜ大谷選手は50―50を達成できたのでしょう。過去に50本以上の本塁打を打った選手は体格が大きく、パワーに特化した選手が目立ちます。若いときはスピードのあった選手でも、1本でも多くの本塁打を打とうと体を大きくするうちに、足の速さを犠牲にせざるを得なかったのです。
ところが、大谷選手はそれを両立させました。実は、昨季の途中にひじを痛めて手術をし、今季は投手をあきらめて打者に専念したことが大記録につながりました。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「ショウヘイは春のキャンプのときから40―40(40本塁打、40盗塁。過去5人のみ)を目指し、50―50も視野に入れてトレーニングしていた」と話しています。つまり、パワーとスピードという二兎を追って、二兎とも得たのですね。
今季は投打の二刀流をあきらめざるを得ませんでしたが、来季は再び投手も務め、二刀流に戻るのでしょうか? 今後も大谷選手から目が離せそうにありません。
〇解説/生島淳(スポーツジャーナリスト)
ジュニアエラ編集部