まさか大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)が無冠に終わるとは、誰も想像していなかっただろう。17日(日付は全て現地時間)、BBWAA(全米野球記者協会)記者の投票による今季のMVPが発表された。注目されていたア・リーグは、リーグ新記録の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)が30票中28票の1位票を得て、自身初のMVPに輝いた。
最も、ある意味では事前の予想通りの結果ともいえる。しかし、大谷の2年連続のMVP受賞も期待されていただけに、ファンから落胆の声が上がっている。オンライン最大のファンサイト『エンゼルス・ウィン.com』を主催するチャック・リヒター氏は「私は大谷選手がア・リーグMVPを受賞するべきだと考えていましたが、投票者は古風な考えを持っているようですね。アーロン・ジャッジが今シーズン、ロジャー・マリスを超える本塁打記録を打ち立てましたが、それがMVP投票で有利になったようです」と憤慨。
メディア関係者も大谷が無冠という事実に首をかしげる。スポーツメディア『スポーティング・トリビューン』のテイラー・ブレイク・ウォード記者は「(MVPを獲得した)昨季よりも優れた成績を残した大谷選手に(何の)賞も与えられないのは残念だ」と意見を述べた。
今季の大谷は、投手としては15勝9敗、防御率2.33の成績で規定投球回数もクリア(166イニング)。打者では、メジャーでは自己最多の160安打に加え、34本塁打とエンゼルスを牽引した。満票MVPを受賞した昨年を上回る活躍で、それがどう評価されるかは現地でも注目が集まっていた。
しかし、冒頭のMVPをはじめ、前日(16日)に発表されたサイ・ヤング賞では、ア・リーグはジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)が満票で受賞し、大谷は4位。ほかにも、10日に発表されたシルバースラッガー賞(ポジション別に打撃が優れた選手を選出する打撃のベストナイン)では、大谷は指名打者と今季新設されたユーティリティーの2部門にノミネートされるも、いずれも落選。今季の大谷はこれら主要な個人賞の受賞はなかった。地元記者の中には、現在の受賞者の選出方法に疑問を投げかける者もいる。