また今年のセ・パ両リーグの規定投球回数に到達した19人と規定打席到達選手の打率トップ10の20人を合計した39人の出身高校を調べてみても、駒大苫小牧(田中将大、伊藤大海)、東海大相模(小笠原慎之介、菅野智之)、菰野(西勇輝、岡林勇希)、社(近本光司、辰己涼介)、広陵(佐野恵太、福田周平)の5校の2人がトップであり、3人以上の選手を輩出している高校はない。

 また東京五輪のメンバー、今年の成績上位者の中には川崎工科(青柳晃洋)、蒲郡(千賀滉大)、北筑(今永昇太)、清水東(岩崎優)といった県内大会でも上位になかなか進出することがない高校出身の選手も含まれている。これを見てもプロで一流になるような選手は特定の高校から出てくるものではなく、環境に左右されずにトッププロとなるケースも多いことがよく分かるだろう。

 過去を振り返ってみてもPL学園、横浜、東海大相模、広陵などが多くプロへ選手を輩出しているものの、どの高校も数年間新たにプロでレギュラーを奪うような選手が出なかった時期は存在している。それを考えても、一部の年代の選手が苦戦しているだけで「大阪桐蔭出身の選手はプロで大成しない」と決めつけることはナンセンスである。

 そして藤原、根尾に近い世代の選手にも今後が楽しみな選手が少なくないことも確かだ。冒頭で触れたように松尾はドラフト1位でプロ入りしており、現在のチームのエースである前田も上位候補となる可能性は高い。また既にプロ入りした選手でも今年のルーキーである池田陵真(オリックス)は高校卒1年目で早くも一軍デビューを果たしており、大学を経てプロ入りした徳山壮磨(DeNA)も二軍ではチーム2位となる投球回を記録するなど着実に経験を積んでいる。

 よく大阪桐蔭は全国から有望な選手を集めているから勝てるのだということも言われるが、スカウティングに関しては同じくらい力を入れているチームは他にも存在しており、決して大阪桐蔭だけに有望選手が集まっているわけではない。

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今年のチームにも感じる大阪桐蔭の凄さ