その帰り道の車内で、ガリーナさんが「車を止めて!」と言った。自分の娘が通りかかったからだ。今年7月に生まれたガリーナさんの孫を乗せた乳母車を押している。昼間は、地上で普通の生活を送る市民は多い。この日も空襲警報が鳴り、解除されたばかりだった。ガリーナさんに「赤ちゃんをつれて、外を歩いて、危なくないんでしょうか」と尋ねた。

「孫は地下壕で生まれました」というガリーナさん(右)。左に立っているのが長女のカリーナさん、25歳。=ハルキウ市近郊で、岡野直撮影
「孫は地下壕で生まれました」というガリーナさん(右)。左に立っているのが長女のカリーナさん、25歳。=ハルキウ市近郊で、岡野直撮影

 ガリーナさんは次のように答えた。

「多くの市民は空襲警報には慣れっこになっているんです。でも、娘が産気づいて、産婦人科に入院した、その時に空襲警報が鳴ったんです。私の娘が出産したのは、その病院の地下壕だったんですよ」

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