今井氏を自民党にくら替えさせて県議のバッジを約束すれば、衆院選の岐阜5区は安泰という構図が作り出せるというわけだ。今井氏が野田氏と会見し、県議選に向けて一緒に選挙活動をすれば、激戦が予想される多治見市長選への効果も大きいと自民党は見ている。
今井氏が自民党にくら替えした目的や目指す方向などについては、13日の自身の記者会見で明らかになるのかもしれないが、これまでの今井氏のSNSを見ると、
「国葬反対という4文字では到底語りきれない、極めて政治的な議論が必要な問題が、日本中を騒然とさせて今日を迎えました」
「私の国葬についての考えは、”内閣が独断で強行する”国葬には反対です」
などと自民党の考えとは相いれない内容が多く書き込まれていた。そうした考えに賛同して、これまで今井氏を応援してきた有権者は複雑な思いだろう。会見では、そうした有権者に向けてしっかりとした説明が求められる。
古屋氏は「(今井氏の主張は)共産党のような主張ではない」と説明するが、それが有権者に受け入れられるのか、危ぶむ声もある。
立憲民主党の幹部は、
「今井氏が自民党に、というニュースを見て泉代表も『今井氏は頑張っていける候補だと思っていた』と残念そうでした。岐阜県連からは『岐阜5区の今井氏は有力な候補なので党の重点選挙区として月額の活動費をアップしてほしい』との要望も寄せられ、その方向で検討していたばかりでした。ただ、評価が高い一方で、2021年の衆院選で大善戦し、最年少候補と持ち上げられて舞い上がり、傲慢(ごうまん)になっているという話も出ていました。今井氏は、政党交付金から支出されている党からの活動費を受け取りながら、自民党と裏で通じていたことになる」
選挙戦略が立憲民主党より一枚も二枚も上手な自民党にとって、若い今井氏を翻意させることなどたやすいことだったということか。
(AERA dot.編集部 今西憲之)