隅田に比べると変化球の精度が低く、ストレートもコントロールを意識して少し抑え気味に投げているように見えるが、190cm近い長身から倒れ込むように投げ込むフォームは迫力がある。また大型サウスポーの割に意外と指先の感覚も良く、四死球で自滅するようなことがないのも大きな持ち味だ。ヤクルトも西武と同様に左の先発投手が不足しているだけに、今年はキャンプ、オープン戦からしっかり調整を進めて開幕ローテーション入りを目指したい。
一方、高校卒の選手でルーキーイヤーに二軍で最も結果を残したのが森木大智(阪神)だ。開幕当初から順調に登板を重ねると、二軍ではチーム5位となる53回を投げて防御率こそ4点台ながら4勝2敗と勝ち越して見せたのだ。7月に行われたフレッシュオールスターでもウエスタン・リーグの先発を任されると、1回を無失点、2奪三振と好投。シーズン終盤には一軍でも2試合に先発していずれも負け投手となったが、デビュー戦では最速154キロをマークするなど大器の片鱗を見せている。少しリズムが単調で、スピードの割に打者に合わされやすいのは高校時代からの課題だが、ボールの質自体は素晴らしいものがある。変化球のコントロールが向上し、相手を見ながら投げるようになれるかが今後のカギとなりそうだ。
もう1人注目したいのが高校生では一番人気となった小園健太(DeNA)だ。1年目はチームの方針もあって体力作りに終始し、二軍でもわずか3試合、4回2/3の登板に終わったがいずれも無失点とさすがの投球を見せている。またシーズン終盤には新型コロナウイルスに感染して一時戦列を離れたが、フェニックスリーグでは最速150キロをマークして復調ぶりをアピールした。高校時代から完成度が高かったことを考えると少し慎重すぎる起用のようにも見えたが、それだけ球団からの期待が大きいことは間違いない。今年は開幕から二軍で結果を残して、一軍デビューを期待したい。