ルールを破って、スマホを取り上げられた息子が親に危害を加えるという行動に正当性はない。ただ、ゲームを一緒にやっている友達に迷惑をかけたという思いは理解できる

「息子の行動は許されるものではない。ただ、同じことが二度と起きないようにするために、どうするべきかを考えなければいけません。子どもたちがよくやっているゲームは、一試合約20~30分かかることがよくあります。時間が来ても急にはやめられないことが多いです。このご家庭では何度も話し合って、『午後7時45分になったら新たにゲームを始めない』というルールを作り、その後はうまくいっています。親子でコミュニケーションを取り、どういうゲームなのか大枠を理解する。子どもにも言い分があるので頭ごなしに叱るのではなく、聞く耳を持つことが大事です。相談できる間柄でないと、子どもは思いを伝えられない」

 子どもがスマホのオンラインゲームに時間を忘れて夢中になり、日常生活に支障をきたすケースは少なくない。隣国の韓国では若者が長時間ゲームすることが社会問題となり、11年に青少年のオンラインゲームへの接続を規制する法律「シャットダウン制」が制定された。午前0時~6時まで16歳未満はオンラインゲームの接続を禁止するという法律だったが。反発の声が高まり21年限りで廃止に。だが、オンラインゲームを巡る規制が緩くなったわけではない。青少年のオンラインゲーム利用時間を保護者が管理する「ゲーム時間選択制」が新たに施行されている。

「未成年のスマホ使用を巡り、世界中で試行錯誤している状況です。また、ゲームやSNSに触れることが一概に悪いとも言えない。ある企業は就活生に、履歴書代わりに、2分間の自己紹介動画を要求しました。私の関わる学生で、普段からTikTok等で楽しんでいる学生はうまく動画を作ってPRできましたが、親の方針でSNSの利用を厳しく禁止されていた学生は大苦戦。保護者に『お母さんのせいだ』と迫ったそうです。ネットの利用を放棄させたことで、社会に対応する幅が狭くなってしまった一例です」

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