2023年2月13日に刊行予定の『スマホはどこまで脳を壊すか』(著・榊浩平、監修・川島隆太)。スマホやパソコン等のデジタル機器を便利に使うことでヒトが“効率的≒ラク”をした結果、脳も一緒にサボっている実態を、最新研究をまじえて検証。さらに“サボらせている”のが成長期の子どもの脳であれば、影響はより深刻で、スマホ依存がいかに学力低下につながるか、衝撃のデータとともに明らかに。
2023年2月13日に刊行予定の『スマホはどこまで脳を壊すか』(著・榊浩平、監修・川島隆太)。スマホやパソコン等のデジタル機器を便利に使うことでヒトが“効率的≒ラク”をした結果、脳も一緒にサボっている実態を、最新研究をまじえて検証。さらに“サボらせている”のが成長期の子どもの脳であれば、影響はより深刻で、スマホ依存がいかに学力低下につながるか、衝撃のデータとともに明らかに。

 もう一つ、スマホ等の使用が「1時間未満」の学力が高い理由としては、自分の意志で「1時間未満」に抑えられる子どもたちが含まれている可能性があります。楽しくて誘惑の多い魅力的なスマホに依存することなく、自律的に使いこなすことができている。そんな自己管理能力の高い子どもたちが一定数含まれているのではないかと考えています。

 そしてグラフは「1時間未満」を山の頂点として、使用時間が長くなるほど、どんどんと学力が低くなっていく様子が見てとれます。このように、1時間以上のスマホ等使用が学力に悪影響を与えていることが明らかになったのです。

■スマホ等を3時間以上使っている子どもは成績が平均未満!

 スマホ等の使用時間が長い子どもたちの学力が低い理由として、スマホ等を使用するために睡眠の時間が削られてしまっているという可能性が考えられます。また、当然のことですが、勉強をたくさん頑張っている子どもたちの方が良い成績を修めていると考えられます。同様の理由から、スマホ等の使用によって勉強時間が削られてしまっている可能性も考慮する必要があります。

【図2】スマホ等の使用が「1時間未満」の子どもの勉強・睡眠時間と学力の関係/2018年度、小学5年生~中学3年生(40,817人)のうち、平日のスマホ等使用時間が1時間未満のグループ(9,622人、23.6%)。4科目(国語、算数〈数学〉、理科、社会)の偏差値
【図2】スマホ等の使用が「1時間未満」の子どもの勉強・睡眠時間と学力の関係/2018年度、小学5年生~中学3年生(40,817人)のうち、平日のスマホ等使用時間が1時間未満のグループ(9,622人、23.6%)。4科目(国語、算数〈数学〉、理科、社会)の偏差値

 そこで私たちは、スマホ等の使用について「全く使わない」「1時間未満」「1~2時間」「2~3時間」「3時間以上」と回答した子どもたちについて、それぞれ勉強・睡眠時間と成績の関係を解析しました。ここでは詳しい説明は省きますが、「1時間未満」と回答した子どもたちと、「3時間以上」と回答した子どもたちの解析結果を表したグラフ(【図2】、【図3】 ※外部配信先では図版などの画像が全部閲覧できない場合があります。図版をご覧になりたい方は、AERA dot.でご覧ください)をご紹介します。

【図3】スマホ等の使用が「3時間以上 」の子どもの勉強・睡眠時間と学力の関係/2018年度、小学5年生~中学3年生(40,817人)のうち、平日のスマホ等使用時間が3時間以上のグループ(8,463人、20.7%)。4科目(国語、算数〈数学〉、理科、社会)の偏差値
【図3】スマホ等の使用が「3時間以上 」の子どもの勉強・睡眠時間と学力の関係/2018年度、小学5年生~中学3年生(40,817人)のうち、平日のスマホ等使用時間が3時間以上のグループ(8,463人、20.7%)。4科目(国語、算数〈数学〉、理科、社会)の偏差値

「1時間未満」の子どもたちのグラフでは平均以上の成績を表す棒が多数を占めています。一方、衝撃的なのは「3時間以上」の結果です。灰色の棒が1本も残りませんでした。この結果からわかることは、スマホ等を1日3時間以上使用している子どもたちは、どれだけ勉強を頑張っていても、きちんと睡眠時間を確保していたとしても、成績が平均未満に沈んでしまっているということです。

 つまり、スマホ等を長時間使用している子どもたちは、勉強時間や睡眠時間が削られてしまうから学力が低いという、私たちの最初の仮説は証明されませんでした。この結果から、スマホ等の使用は子どもたちの学力に直接的な悪影響を与えているという可能性が高まってきたのです。

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