突然やってくる子どもの病気。いち早く発見するためには、「いつもと違うかも?」という周囲の大人の気づきが大切です。子どもが発するサインを見逃さないようにしましょう。前編では健康を守る上で知っておきたい子どもの体と心の特徴を紹介しました。後編では引き続きいりたに内科クリニック院長の入谷栄一先生に子どもが病気にかかった際、具体的にどのような点に注意すればよいかを聞きました。
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赤ちゃんが胎盤を通して母親からもらった免疫力(抗体)は生後6カ月を過ぎると減少し、赤ちゃん自身の免疫が発達し始めるのは1歳を過ぎてから。6カ月~1歳半では免疫力は一生で最も低下しています。そのため幼児期が終わるくらいまでは最も病気にかかりやすい時期といえます。
成長と共に生活環境が変わることで接する菌も異なり、かかる病気も変化します。乳児期は母親や周囲の大人がもっている菌に感染しやすく、集団生活が始まる幼児期以降は子どもたちがもっているブドウ球菌や肺炎球菌などに感染しやすくなります。
子どもはこうして様々なウイルスや細菌に感染することで免疫力をつけ、病気と闘うことで強い体に成長していきます。その意味で、病気にかかることはけっしてマイナス面ばかりではありません。
■子どもは病気の進行が速く、症状が急変しやすいのが特徴
子どもはいったん病気にかかると進行が速いのが特徴です。すぐに熱が出たり下痢をしたりと症状が現れやすく、病状が急変したり、重症化したりすることがあります。時にはインフルエンザ脳症のように合併症を起こして重篤な事態を招くこともあるので、病気の経過には注意が必要です。その一方で、成長過程にある子どもは治癒力が強く、治るのも早い傾向があります。
1歳~小学校入学までの幼児期には、アレルギー疾患もよく見られます。子どもの場合はアトピー性皮膚炎から始まって食物アレルギー、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎といったように年齢と共に次々と連鎖的に発症することが多く、「アレルギーマーチ」と呼ばれています。