ボランチでは、今季がJ1初挑戦となる佐野海舟(鹿島)が注目すべきタレントだ。2000年12月30日生まれの22歳。米子北高時代に3年連続で選手権に出場した後、2019年にJ2・町田に入団。高卒1年目にリーグ戦21試合に出場すると、2年目には同41試合出場で主力に定着。身長176センチと体格的にはそれほど恵まれてはいないが、球際の強さには目を見張るものがあり、高いボール奪取力で相手を「狩る」ことができる。昨季は故障やオーバートレーニング症候群に悩んだが、「J2のデュエル王」としての評価は高く、オフに鹿島に移籍すると、今季開幕の京都戦でスタメン出場。アンカーの位置からピッチを広範囲にカバーして何度もボールを“回収”するなど、J1初舞台を感じさせない貫禄のプレーぶりで勝利に貢献した。続く第2節の川崎戦でも相手にボールを持たれる時間が多かったが、その中でも高い守備センスを発揮しながら、ボールを持った際には縦への推進力も披露。まだ2試合だが、自らが遠藤航の後継者候補の1人であることを証明している。
攻撃的なMFでは「両利き」の小泉佳穂(浦和)にも期待したい。1996年10月5日生まれの26歳。FC東京U-15から前橋育英高へ進み、青山学院大を経て2019年にJ2昇格を果たしたFC琉球に加入。J2で結果を残して2021年に浦和に移籍すると、J1舞台でも優れたテクニックを披露しながらゲームメーカーとして働き、2年間でリーグ戦61試合に出場して5得点7アシストを記録した。左右両足ともに高い精度を誇り、閃きのあるパスで局面を打開。キックフェイントからの切り返しは効果抜群で、鋭いターンを駆使しながら狭いスペースで仕事ができ、守備の献身性も高い。今季は開幕から2連敗を喫し、チーム、個人ともにストレスの溜まる試合が続いたが、周囲との歯車が噛み合えば、この男の稀有な才能が生かされるはずであり、自身が先頭に立ってチームを牽引できれば代表への扉も開くはず。代表舞台でプレーすることで、ワンランク上の選手になれる可能性もある。