全国のほとんどの学校で臨時休校が始まった。まだ先は長い。これまでにない不安とストレスを親と子はどう乗り越えればいいのか。AERA2020年3月16日号は、専門家と一緒に考えた。
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休校初日の夜、小1の息子は、開口一番訴えた。
「明日から学童行くの、嫌だ!」
東京都西東京市でケアマネジャーとして働く母親(41)は、この息子の言葉に困った。
「夏休みも冬休みも友達と遊べるからと喜んで学童に通っていましたが、今回は半数近くの子どもがお休みらしくて。昼食も正面を向いて黙って食べるように言われ、感染予防のために、外遊びも集団遊びもなしとのことで、いつもとは違う異様な雰囲気が嫌だったみたいです」
3月2日から、新型コロナウイルス拡散予防のための臨時休校がスタートし、子どもだけで慣れない留守番をしている家庭も多い。原則開所という学童も、自治体によっては閉所されたり、利用の自粛を求められたりして、自宅にとどまる子も学童に行く子もそれぞれがストレスをためている。
学校の授業だけでなく、部活動や塾、習い事の休止も続く中、子も親も、この先、数週間続く休暇をどうやって乗り越えればいいのか。アエラが行った緊急アンケートには、さまざまな不安の声が寄せられた。
学童が閉所された千葉県市川市に住む女性(45)は、父を富山県の実家から呼び寄せ、小1と保育園年少の子の世話を頼んだ。
「父も70代後半。張り切ってくれているのはありがたいが、丸一日、小さな子どもの相手をするのは大変。体力的にいつまでもつのか」
三重県の妻の実家に小2の息子を「疎開」させたという愛知県の男性(40)も言う。
「何週間も、となれば子どもは寂しがるだろうし、近所の散歩にも飽きてしまうのでは」
アンケートに寄せられた不安は大別すると三つ。一つ目は、悲しみや不安を抱える子どもにどう対応すればいいのか。二つ目は、生活リズムが崩れ、学習も遅れてしまうのではないかといった不安。そして、子どもだけで留守番させることに防犯上の不安を訴える声も多かった。
では、子どもが抱える不安や悲しみにはどう対処したらいいのだろうか。
「テレビをつけるとトイレットペーパー不足や感染拡大のことばかりで、子どもが不安そうに見ている」「中3の娘は卒業式もなくなり、落ち込んでいる」「頑張ってきたクラブ活動もなくなりメンタルが心配」
そんな声に対し、臨床心理士の森山沙耶さんは、こう話す。