「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会を巡り、立憲民主党の辻元清美幹事長代行が安倍晋三首相の説明の矛盾を突いた2月の国会質疑は大きなインパクトを与えた。AERA2020年3月9日号は、「鯛は頭から腐る」と安倍首相に切りかかった真意を尋ねた。
【写真】安倍首相が自席から「意味のない質問だよ」と発言したことに辻元氏は抗議した
※【「安倍総理だけがちょっと異様」歴代総理11人を見てきた辻元清美氏が抱く違和感】よりつづく
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──2月12日の予算委員会では、「鯛(タイ)は頭から腐る」と切りかかりました。
質疑は衆議院のホームページで見られますが、50分の持ち時間の半分以上、憲法議論をしているんです。他にも官僚や幹部自衛官の不祥事など、多くの議論をしたのですが、最後の90秒で安倍総理は興奮してしまったみたい。総理が「反論する機会を与えられず」「罵詈雑言」を「延々と繰り返された」と述べたのがワイドショーで切り取られ、事務所には「総理に失礼だ」という抗議が相次ぎました。
でも、森友問題、加計問題、桜を見る会に関する公文書の隠蔽(いんぺい)、廃棄、改竄(かいざん)は、全て安倍総理、安倍昭恵総理夫人の周辺で起きている。二人の疑惑にまつわるものが捨てられているんです。自殺者まで出してですよ。総理大臣が原因になっていて、官僚が勝手にやってるんじゃないんです。リーダーがおかしなことをやってしまったから、官僚がそれを処理させられている、桜を見る会を巡っては、民間企業のホテルまでもが巻き込まれているんです。
──独自に安倍総理が前夜祭を行ったホテルに質問を送り、得た回答を17日の予算委員会で読み上げました。
「桜を見る会」は、もうとっくに詰んでいる詰将棋のようなもんですよ。「ホテルとして、見積書や請求書明細を主催者側に発行しないケースがあったか?」「白紙の領収書を出したことは?」「主催者が政治家および、政治家関連の団体であることから対応を変えたことは?」という問いに、ホテルの回答はすべて「ございません」。
これを安倍総理は「一般論だ」と答弁したけれど、私はちゃんと「2013年以降の7年間に貴ホテルで開かれたパーティー・宴席について」と限定して、過去形で事実を聞いたんです。だからホテルは誠実に事実関係を答えてくれました。さらに安倍総理は唐突に「ホテルは『上様』の領収書を出した可能性がある」としゃべりだした。典型的な「ご飯論法」ですよね。そしたら、一部のメディアが「『上様』領収書が出てきた、総理答弁と一致だ」と報じる始末。いやいや、総理は何度も「白紙」と言い続けたんだから、虚偽答弁でしょう。詰んでいるのに、将棋盤の前で「俺は負けてへん」と駄々をこねていることと同じです。