女性は電子資料をまとめる事務職だ。パソコンとネット環境さえあれば、自宅でもできると思う。
「派遣だとパソコンをなくす、信用ならないとでも思われているのでしょうか。それとも、ただ正規雇用か非正規かの差で、無言の線引きがされているのでしょうか。命の選別をされているように感じます」
女性の会社では、社員にテレワークが勧められてから、半分以下の人数しか出勤しないようになった。それでも、女性は今も毎朝、満員電車に1時間揺られる。電車の混み具合は変わっていないという。
「ぎゅうぎゅう詰めの車内でちょっとむせると、殺意のこもった目でにらまれます」
女性には傷病休暇がない。
「感染したら有給休暇を使うしかない。契約更新する数カ月後に、コロナの影響はどうなっているんでしょう。『仕事がないからクビ』と会社から言われたらと思うと、ぞっとします」
テレワークができる人にも悩みがある。
1月26日にテレワークへの移行を発表したインターネットサービスのGMOインターネットグループ。熊谷正寿代表は2月16日、ツイッターに「在宅勤務開始から3週間。何が凄いかと言うと、業績に影響がほぼ無い。この結果を見て、そもそもオフィスが必要なのか真剣に考えている(汗)」と書き込んだ。
だが、ネット上のブログではこのころ、GMOの社員を名乗る匿名の書き込みがあった。
「公式には在宅勤務中であるが、結局、各部門の上司に一任されているので、上司が『来い』と言えば行かなくてはならない。上司にとって大事なのは、『数字』である。そのため、出社させて数字を上げさせなくてはならない」
業績を落としたくない上司が、部下に出社を迫ってはいないか。GMOインターネットは「グループ内でも、対面営業や金融系システム業の担当などが自宅で業務ができず、出社が多い子会社もある」と認める一方、「在宅で働ける社員が上司や同僚の意向を忖度して出勤するようなことがないようにと、各会社のトップに伝えています」と話す。