マーケティングディレクターでもあるナオミさんによると、ARTBAR TOKYOはアメリカで人気のPaint&Sipを参考に、5年前にスタートした。ゴッホの「ひまわり」、抽象画、子ども向けの講座など、さまざまなセッションを開催している。9人いるインストラクターは美術大学の出身者。日本語と英語に対応し、企業研修、誕生日パーティーなどにも利用されている。

「うまい、下手という絵の評価はしません。誰もが安心してクリエーティブに、ポジティブになれる場所だから自分を出してほしい。みなさん絵を完成させると、自分はクリエーティブだという気持ちになって笑顔で帰っていきます。それがうれしい」

 2時間で完成させた絵は、お手本は同じでも人によって色や形が違う。オリオン座を描き加える人もいて、オリジナリティーがにじみ出ているのだった。

「絵を描くってこんなに満たされるんだ」「道具がそろっていて、描き方も教えてくれて、でも個性は出せるのがいい」「人見知りだけど、お酒と絵の力を借りて話ができた」「描く側の気持ちがわかって絵を見に行きたくなった」など満足度は高い。お酒があるから来たという人が意外に多かった。久しぶりに絵筆をとれば、何かが見えてくることは間違いない。(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2020年2月10日号