人を好きになる時、計算する人もいるかもしれない。だけど普通は、単に「好き」と思うものだ。眞子さまはICUの留学説明会で小室さんと出会い、好きになった。その気持ちのまま、結婚を決めた。

 それがいつの間にか、違うことになった。大人が寄ってたかって「月にうさぎなんていないよ」と言いにくる。だけど、うさぎを信じた子どものように、純粋なままでいたい──眞子さまの、そんな心の叫びが聞こえてくる。

 17年9月の婚約内定会見。小室さんは眞子さまを「月のように静かに見守って下さる存在」と語った。だから小室さんの暗喩として「月」を詠んだ。そうとらえる人もいるようだ。

 わからなくはない。だが、「小室さんを詠もう→何を使おう→そうだ、月にしよう」ではないと思う。たった31文字の中、計算を入れたりしたら人の心など打てはしない。私の心が動き、この文章を書いている。それが計算でない証拠だと思う。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2020年2月3日号より抜粋

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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