人を好きになる時、計算する人もいるかもしれない。だけど普通は、単に「好き」と思うものだ。眞子さまはICUの留学説明会で小室さんと出会い、好きになった。その気持ちのまま、結婚を決めた。

 それがいつの間にか、違うことになった。大人が寄ってたかって「月にうさぎなんていないよ」と言いにくる。だけど、うさぎを信じた子どものように、純粋なままでいたい──眞子さまの、そんな心の叫びが聞こえてくる。

 17年9月の婚約内定会見。小室さんは眞子さまを「月のように静かに見守って下さる存在」と語った。だから小室さんの暗喩として「月」を詠んだ。そうとらえる人もいるようだ。

 わからなくはない。だが、「小室さんを詠もう→何を使おう→そうだ、月にしよう」ではないと思う。たった31文字の中、計算を入れたりしたら人の心など打てはしない。私の心が動き、この文章を書いている。それが計算でない証拠だと思う。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2020年2月3日号より抜粋

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