500ドットコム側もそれを承知のうえで、なんとか参入を果たそうとしたのだろうか。裏を返せば、日本市場はリスクを冒してまで入り込みたい魅力があるということだ。
「世界3位の経済力を持つ日本でIR事業者になれば、巨額の収益が見込めます。シンガポールにある二つのIR施設は単一施設としての規模が大きく、18年の売上高は合計で5300億円。しかし、IRに手を挙げている横浜市の場合、一つの施設で年間の売り上げ予想が5千億円を超える。カジノの広さも世界トップクラスになる見込みです。経済力が桁違いに大きい東京でやるとなったら、一体どの程度の規模になるのか想像もできません」(小池さん)
国際カジノ研究所長の木曽崇さんは、日本は最後に残されたIRの大市場だという。
「極東アジアには、本格的な統合型リゾートと呼べる場所がない。韓国のカジノは外国人専用、ロシアのウラジオストクの施設は市街地から遠く、開発には不都合。その点、経済力があり大都市が候補地として名乗りを上げる日本は、国際カジノ企業からみて魅力度が高い。日本が極東アジア圏のマーケットの中心地になると期待しています」
(ジャーナリスト・桐島瞬)
※AERA 2020年1月27日号より抜粋