ドラマ「教場」が1月4、5日の2夜連続で放送される。骨太な心理ドラマの主役に挑むなかで見えてきたものとは。木村拓哉さんが心のうちを語った。
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白髪に何事も見透かしたようなまなざし。新春スペシャルドラマ「教場」で、警察学校の冷徹な教官、風間公親を演じる。数々のヒーローを演じてきたが、これほど老けた役は初めてだ。長岡弘樹による人気ミステリー小説を、君塚良一が脚色、「若者のすべて」(1994年)などでタッグを組んだ中江功が監督をつとめた。
──役には自然と入れましたか。
できる、できないではなく、「やるべき人間がやる」というのが撮影現場なので、悩んだりしたことはないですね。見た目について、自分のこだわりというのは特にないです。原作も脚本も僕は内面しか読んでいないので。ただ、生徒役30人のエネルギーが現場にすごく満ちあふれている状況のなか、風間だけが無機的な静物のように存在している感じのイメージは伝えたかった。監督は「そこまで頭は白くなくてもいいんじゃない?」とおっしゃったけど、そこは意見をパスし合って、最終的にああいう感じになりました。
──風間は相手の適性を瞬時に見抜いても言葉には出さず相手に悟らせるように仕向けます。
僕自身は顔にも口にもすぐに感情が出る人間だと思うので、まわりくどい人はあまり好きじゃない。なので、はっきり言ってくれよと思うでしょうね。風間は相手に勢いがあればあるほど、その力を利用して倒すという、すごくテクニックと経験があるキャラクターです。
──風間は警察に批判的な人物こそ適性があるという見方です。
そこは原作も脚本もすんなりと読めたというか、メッセージを盛り込んでいるという意味で魅力を感じました。
風間はすべてに責任をとる人物というか、どの生徒も「はい、卒業!」と送り出してしまうような事務的な人ではない。
いまの時代、相手の痛みを感じるとか、相手のことを考えるとかいったことをちょっとスキップしているように思うんですね。「僕、これ好き」「私、これ嫌い」「俺、これキモイ」。SNSを通じてそんな言葉だけが飛び交って、そこに「いいね!」とダブルタップする。だけど、だれもその行為に責任をとらない。そんな時代にあって、風間は「いいね!」を押した人間に、「おまえ、それを押したよな」とその行為の意味をとことん問うような存在です。彼に恐怖を感じてしまう僕らの方が、ひょっとするとおかしいのかもしれないと思いますね。