「チワワちゃん」「翔んで埼玉」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「人間失格 太宰治と3人の女たち」、そして「カツベン!」と、今年だけで6本もの映画に出演した注目の若手俳優、成田凌。不安や恐れを感じつつも、「好きなこと」に向かっていく。AERA 2019年12月16日号では、初主演映画にかける想いを聞いた。
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成田凌の映画初主演作「カツベン!」が公開される。今から100年ほど前、映画にまだ音がなかった時代、登場人物に声をあて、物語を説明する活動弁士は俳優以上の人気を誇った。周防正行監督が長年温めてきた題材だ。成田さんは活動弁士を夢見る青年を演じる。
──俳優にとって、初めての主演作はやはり特別なものですか。
成田凌(以下、成田):“初主演”というものは最初で最後ですからね。とても特別なものだと思います。何十年後かに自分の歩んできた道を年表にするとしたら、ひと際大きく記されるところですよね。その経験を周防監督の作品で、尊敬する共演者の方々とご一緒できたというのは、自分のなかでもずっと残るんだろうな、と思います。役者の仕事は、物語があって、自分がそのなかに入っていく。活動弁士は物語はもちろん、登場人物一人一人のことを理解し、全体のバランスを考えながら声だけで参加する。改めて凄い仕事だと思いました。
──成田さんはオーディションで主人公の俊太郎を射止めましたが、周防監督は成田さんを選んだ理由を「成田さんなら皆に愛される俊太郎を演じてくれると思ったから」と口にされていましたね。
成田:周防監督にそう言っていただけたのは、とても嬉しかったです。「たまたま選ばれた」のではなく、僕のなかに何かを感じてくれたということですから。お芝居に関しては、竹中直人さんをはじめとする、これまでの周防組の役者さんたちが生み出す独特のテンションがあり、それが作品全体の“温度”になっていました。それで、「あ、自分もここに合わせていけばいいんだ」と。その温度感がわかったことで、「大丈夫だ」と思えました。