──ご自身は、モデルから俳優へ。役者を志したときはなにか目標があったのですか。
成田:明確な目標はなにもなかったです。正直、いまもわからないです。モデルと役者に共通して言えるのは、先輩の姿を見て、そのなかのなにかを少しずつ自分のものにしていく、というところ。真似をしていくことで、そのなかから自分のオリジナルを見つけていく作業なのかな、と思います。
誰かに出会うことで、少しずつ自分自身が変わっていって、少しずつ変わっていくことを繰り返すことで、気がつくと、元いた場所から遠い場所にいる。そのなかで仕事の選び方も変わってくるでしょうし、自分の人生も変わっていくのだろうな、と思うことはあります。それこそ「カツベン!」がめちゃくちゃヒットしたら、僕の人生も大きく変わりますよね。最近、映画を観てくださった方に感謝を伝えるティーチイン(トークショーなどが組み合わさった試写会)を積極的に行おう、と思うようになったのですが、それは映画「ニワトリ★スター」で共演した井浦新さんが教えてくださったこと。井浦さんと出会っていなかったら、僕はまた違う人生を送っていたと思います。
──今年は「チワワちゃん」「翔んで埼玉」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「人間失格 太宰治と3人の女たち」、そして「カツベン!」と6本もの映画に出演されました。なかでも、「愛がなんだ」はロングラン上映され、映画好きが集まる名画座でも上映されていました。
成田:「愛がなんだ」と「さよならくちびる」の2本立てで上映されていましたよね。あれは嬉しかったな。「愛がなんだ」が半年以上も上映されたこともあり、“口コミの力”みたいなものをすごく信じるようになりました。こうやって映画に関する記事を書いてもらえるのもありがたいし、SNSを通じて発信することも大事だと思いますが、実際に観てくださった方がその感想を人に伝え、それが広がっていくって、すごいことだと思うんです。だから、その方たちに感謝を伝える機会をつくりたいんです。