「桜を見る会」問題で、安倍政権は野党の追及をかわし逃げ切りを図る。柱となるのは二つの戦略。モリカケ問題で得た「教訓」が元になっているという。AERA 2019年12月16日号では、二つの戦略について政府関係者に取材した。
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桜を見る会をめぐり、政府の支離滅裂が止まらない。5日には、菅義偉官房長官が記者会見で火だるまになった。発端は、野党議員が資料請求した直後に内閣府が破棄した出席者名簿。実際にはまだバックアップデータが残っていたのに、国会答弁ではそのことを明かさなかった。菅氏はその理由について、こう言い放ったのだ。
「バックアップデータは行政文書ではない」
「(国会議員からの資料請求は)対象が行政文書であることが前提だ」
記者側は猛反発した。
──公文書管理法のガイドライン改定に携わった専門家から、「組織が作成・管理に当たっている以上、行政文書である」との批判が出ている。指摘をどうとらえるのか。
「内閣府から、バックアップファイルは、一般職員が業務に使用できるものでないことから組織共用性を欠いており、行政文書には該当しないと説明を受けている」
──共産党議員の資料要求の際に、バックアップデータの存在を知らせなかったのはなぜか。
「繰り返しになってしまうが、招待者名簿はあらかじめ決められたルール等、手続きに従って廃棄している。かつ、バックアップファイルは一般職員が業務に使用できるものではないことから、組織共用性を欠いており、行政文書に該当しないという認識のもとに、適切に対応したものだったと思う」
菅氏はこの日、事務方が何度も差し入れるペーパーを読み上げ続けた。普段は余裕たっぷりで会見を仕切る菅氏の目が、終始泳いでいるようだったと出席した記者の一人は証言する。
このやり取りを見た、ある自民党関係者は言う。
「あの菅さんが、該当しないと断定せず、『該当しないと説明を受けている』と発言の責任を事務方に転嫁するような曖昧な発言をした。これは、よっぽど追い詰められているな」