「たとえば東急沿線に住んでいて東急カードを使っている人なら、東急カードのポイントも貯まる東急パワーサプライと契約すると沿線メリットを最大限活用できそう。飛行機のマイルを貯めている人ならJALやANAのマイルがもらえる電気会社を選ぶ、などもいいですね」(同)

 新電力の中には電気料金の支払いでTポイントなどのポイントが貯まるサービスを提供している会社も多い。

「重点的に貯めているポイントがある人は、そのポイントが貯まるクレジットカードで電気料金を払えば、ポイント二重取りを目指せます」と丸山さん。比較サイトで出てきた会社の電気料金が、どれも大差なかった場合の決め手として“もらえるポイントで選ぶ”は名案だ。

「ポイントや特典は無視して、従来の電気料金より何%割引になるかを明記している会社は好感がもてますね。旅行会社のエイチ・アイ・エスが運営するHTBエナジーでは、各地方の大手電力会社の一般的な料金から何%安くなるかが記載されています。あくまで電気代重視で選ぶなら、割引率を明記している会社がわかりやすい」(同)

 電力会社の体力も気に留めよう。電力自由化が始まると同時に日本ロジテック協同組合が撤退。売上高は数百億円規模だった。17年12月には大東建託系の大東エナジーによる「いい部屋でんき」が撤退。約26万の契約世帯が1カ月以内に電力会社の切り替えを迫られた。

 契約していた新電力会社が撤退しても、電気がストップする心配はない。東京電力などの大手に電話をかけるだけで取り急ぎ電力は供給してもらえる。ただ、急いで次の電力会社に移る手間を考えると、最初から安心できるところを選びたい。

 最後に省エネ家電について。

「新電力に切り替えたのに15~20年前の家電を使っているのは不経済かもしれません。古いものは最新の省エネ家電より効率が悪いので、新電力で安くなった分は簡単に食ってしまいます。特に大型冷蔵庫、エアコン、ドラム式洗濯乾燥機、IHコンロにご注意」(同)

(経済ジャーナリスト・安住拓哉、編集部・中島晶子)

AERA 2019年11月11日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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