脳梗塞を含む脳卒中の5大症状
脳梗塞を含む脳卒中の5大症状

■症状がみられたら迷わず救急車を

 井口医師は、「脳卒中の5大症状」として、図の症状を挙げる。脳の障害される場所により、症状はひとつのことも、複数が重なることもある。

「脳梗塞は、発症後いかに早く治療するかで予後が異なります。症状がみられたら迷わず救急車を呼んでください」(井口医師)

 また、脳梗塞には前兆がみられることもあり、これを「一過性脳虚血発作(TIA)」という。脳の血管が一時的に詰まり、脳梗塞の症状が出るが、自然に血流が改善することで短時間のうちに症状が消失する。TIAが起こると3カ月以内に10~15%の人が脳梗塞を発症し、その半数が48時間以内に発症するといわれる。「治まったから大丈夫」と考えず、すぐ受診することが必要だ。

 日本脳卒中学会や日本脳卒中協会も「ACT−FAST」を合言葉に、「F(Face:顔のゆがみ)、A(Arm:腕の力が入らない)、S(Speech:言葉が出ない)などの症状がみられたら、症状が出た時間(Time)を確認し、すぐに(FAST)救急車を呼ぶ(ACT)こと」をすすめる。

 一方、脳梗塞には「無症候性脳梗塞」という、症状がないものもある。そのときは症状が出なくても、放置して神経細胞のダメージが積み重なると、意欲や認知機能の低下、大きな脳梗塞やほかの神経の病気につながる可能性も。むやみに恐れることはないが、「5大症状」を忘れず、「おかしい」と思ったらすぐに専門医を受診してほしい。

(文・出村真理子)

※週刊朝日2023年3月24日号より

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