PTA活動も改革が進んできた。委員会活動は自由参加とするPTAも増えたが、本部の活動や役員選出に悩むところも少なくない
(photo 写真映像部・東川哲也)
PTA活動も改革が進んできた。委員会活動は自由参加とするPTAも増えたが、本部の活動や役員選出に悩むところも少なくない (photo 写真映像部・東川哲也)
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 これまで強制的な仕事の押し付け合いになっていたPTA。近頃はそういった仕組みを改め、「任意加入」となり改革が進められてきた。しかし現PTA役員が最も悩むのは後任探しにある。AERA2023年2月27日号の記事を紹介する。

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「次の役員がこのまま見つからなければ解散も考える」と話すのは、兵庫県明石市の公立幼稚園でPTAの代表を務める30代の女性だ。同幼稚園では5年ほど前から朝晩の預かり保育を行うようになり、最近はパートやフルタイム勤務の保護者が激増した。今年度の役員は10人中7人が有職者で、女性も自営で仕事をしている。

 活動の負担を減らすため、18年度には各学級からの委員選出を廃止しており、女性が代表となった22年度はベルマークや資源回収など園に寄付を行うための活動もなくした。園長は当初、寄付がなくなることに戸惑っていたが、代わりにPTAで市議会に園への配当予算の増額を請願したところ実現したため、最終的には園長からも大いに感謝された。

 しかし、役員選出はままならなかった。秋から数人の保護者に声をかけているが、まだ積極的な返事はもらえていない。強く頼めば引き受けてくれるかもしれないが、女性も仕事をしながらPTA役員をこなす苦労を味わってきたので、無理強いはしたくないと考えている。

■解散嫌でも役員しない

「前年度の代表もストレスで体調を崩し、私も代表になってから家庭や子どもに大きなしわ寄せがありました。こんな状況は絶対におかしい。PTAはなくしたほうがいいのかもしれない。残しておけば、毎年誰かが同じ思いをすることになります」

 女性が解散の可能性を示唆すると、少数の保護者から「PTAはあったほうがいい」と声があがった。だが、その人に「来年度の役員をやってもらえるか」と尋ねると「それはできない」という返事だった。女性は今、PTAの解散を本気で検討し始めている。

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