そして高校生にもなれば大人ですから、子どもにも喋るべきだと思う。離婚やこれからの生活、どういう選択肢があるのか、一時的に生活が貧しくなるかもしれないとか、そういう話も。子どもには迷惑で重い話だし、非難される可能性もある。でもドン詰まりのときって、自分だけ善良でいてはいけないのです。恥を捨て、泥にまで入る覚悟ができたら、一筋の光が必ず差し込みます。周囲に対しても本気度が伝わるからです。
どんなに追い詰められて苦しくても、その夢に入ったままでいたいと思うのが人間。でも夢から覚める覚悟を持ったときに、人はまた次の夢を見られるのだと思います。
そしてその時に、「裏切っちゃいけない人」と「たどり着く場所」があると強いです。
「裏切っちゃいけない人」は、お子さんでも、会ったことのない憧れの人でもいいと思います。「あの人をがっかりさせたくない」。そう思い浮かべられる人が一人か二人いると、いざというときに大事な判断を間違うことがない。
「たどり着く場所」というと少し大げさですが、どんなに苦境でも、楽しむ日を決めちゃったほうがいいです。大人になって野球チームに入っている人って、そのためだけに仕事を頑張っていたりします。楽しい時間に嫌なことを引きずりたくないから、そういう人ってストレスにも強いし、運が強い。楽しいことは楽しい、と正直に感じることができる人のところに運はやってくると思うんですよね。
例えば300円のコンビニスイーツとかささやかなものでいいと思います。決まった曜日に、コンビニでスイーツを買う。それを楽しみに嫌なことを片付ける。
そういうたどり着ける場所があると頑張れるし、風向きも変わります。やってみて!
※AERA 2019年10月7日号