■金貨で買う場合はプレミアムがつく
無理に500グラム以上の金地金を買わず、金貨の形で買う手もある。金貨なら、一番高額な1オンスのものでも17万円台で買える。通常の金の価格にコインを造る費用が乗るので少し割高になるが、大切に保管すれば値上がり益も期待できる。
この値段なら、金地金に比べて手軽に買えて、購入のハードルも下がるだろう。コインには、金の純度が99.99%で金地金同様の価値を持つ「地金型金貨」と「収集型金貨」の2種類がある。
たとえば2019年7月に、天皇陛下即位を記念して、財務省は額面1万円、販売価格14万555円の金貨が売り出されたが、この記念硬貨が収集型金貨の典型例だ。
対して、ウィーン金貨ハーモニーやメイプルリーフ金貨などの「地金型金貨」は、金の価格変動に合わせて小売り価格、買い取り価格が値動きするのが特徴。金貨は金地金以上に精緻な細工を凝らして造られているため、その加工費用などが「プレミアム」として、価格に上乗せされている。
金地金同様、金貨も軽量なほうが上乗せされるプレミアム率が高い。10分の1オンス金貨の場合、金地金の10分の1オンスあたりの小売り価格より17%近く、高くなる。
また、金地金に比べると、小売り価格と買い取り価格のスプレッドも広め。現物の金に投資する目的で買うなら、金地金のほうが有利だ。ただ、軽量の金地金には、バーチャージが購入時と売却時の両方にかかる。そう考えると、少額なら金貨のほうがお得なケースもある。
それにしても、金貨は眺めるだけでも妙に幸せな気分になれる、不思議な魅力がある。お守りがわりに1枚持っておきたい気もする。(構成・文/安住拓哉、伊藤忍)
※アエラ増刊「AERA with MONEY 毎月3000円で純金投」の記事に加筆・再構成