経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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働き方改革が叫ばれて久しいですが、無理に残業を禁止したしわ寄せが自宅作業や他の社員に行ってしまったり、育休といっても職場の状況を見るととても休める状況ではなかったり、となかなか前に進まないのが現状のようです。
そんなところに、タニタの谷田千里社長が、社員が「個人事業主」として独立するのを支援するという記事を「日経ビジネス」で目にしました。ここ数年のうちに全社員を個人事業主として、会社と契約する形で仕事を任せたい、というのです。このやり方なら一人一人が会社。仕事ごとにタニタと契約をすることになります。ある会社は午前中だけ、ある会社は夜だけというシフトも簡単にできますし、その仕事が終わればさっと契約が切れるし、他社からの受注も取れるので、収入の幅が広がります。すでに実験的に導入され、全員が収入増、という結果に注目すべきでしょう。縛られずに働いて、収入が増えるわけです。
サラリーマンの奴隷化が防止できる一方で、仕事のできない人は契約がなくなる、というまことにシビアな世界となりますが、そもそもぶら下がり社員が問題になっている日本の大企業にはうってつけの活性化策でしょう。