東京都心7月の日照時間は昨年の1割以下(AERA 2019年7月29日号より)
東京都心7月の日照時間は昨年の1割以下(AERA 2019年7月29日号より)
16日、東京都練馬区の「アキダイ関町本店」では、キュウリが4本198円。天候不順の昨今ではお買い得価格だ (c)朝日新聞社
16日、東京都練馬区の「アキダイ関町本店」では、キュウリが4本198円。天候不順の昨今ではお買い得価格だ (c)朝日新聞社

 7月後半になっても梅雨が明けず、涼しい日が続いている。夏野菜は値上がり、夏物家電の売れゆきも鈍い。高騰するもの、安くなるもの、そして今、お買い得な商品とは?

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 猛暑だった昨年に比べ、収穫量が10倍になっているというのが千葉県にある「佐倉きのこ園」の椎茸だ。椎茸は暑さに弱く、適温は25度から28度。もともと夏季にはあまり取れない。今年は梅雨寒が続いていることが幸いした格好だ。同園園長の齋藤勇人さんはこう話す。

「昨夏の猛暑は極端でしたが、近年の収穫量と比較しても2、3倍。1日に100キロ取れることもあります」

 豊作による値下げ予定はないが、同園が行うハウス見学や椎茸狩りにも例年以上の人が詰めかけ、採ったものを100グラムあたり220円で買っていく。このまま梅雨が長引いたほうが良いですね、そう問うと、齋藤さんはこう言って笑った。

「いえ、暑くなってもいいので早く梅雨が明けて来園者が増えてほしいです。そのほうが売り上げ増につながりますので」

 秋の収穫に悪影響があるのでは、と心配する声が早くも上がっているのが、米だ。しかし、都内の米専門店「スズノブ」代表取締役で、五ツ星お米マイスターの資格を持つ西島豊造さんは、「稲の生育に現状、問題は出ていない」と話す。12日に新潟県の魚沼や秋田、高知、青森などの産地にフェイスブックで問いかけたところ、概ね「生育は順調」という返事が届いたという。

「日照不足で生育に数日単位の遅れが出ている産地もありますが、いまのところ平年並みで推移している、という認識が正しいと思います」(西島さん)

 少なくとも、冷夏で米が深刻な不作となった1993年のようなひどい状況ではまったくないし、判断すること自体、まだ早すぎると西島さんは言う。

「米の生育で重要なのは、穂が出始めた後の平均気温の合計です。低温による生育の遅れは、お盆までならじゅうぶん挽回できるんです。ただし、お盆が明けて稲にお花が咲いて、これから実りがつくというときに、今のような低温が2週間続くと、相当ダメージを受けます。お盆明けの天候が勝負になると思いますね」

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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